くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「劇場版マーダー★ミステリー探偵・斑目端男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血」

「劇場版マーダー★ミステリー探偵・斑目端男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血

全く見る映画がなくなって、仕方なく時間潰しで見に行った。俳優陣にキャラクター設定と行動指示のみ与え、セリフはほぼアドリブで進む作品。物語がもうちょっとしっかりできていればこれはこれで面白いエンタメだったのだろうが、そもそも推理ドラマが適当すぎて面白みがなく、だらだらとやたら長く感じさせるだけに見えてしまった。即興の演技の面白さも今ひとつで、まあバラエティを見ているような仕上がりの一本だった。監督は光岡麦。

 

1991年、一人の少女の死体が森で発見され、それを抱き起こす父親のカットから、2012年、鬼灯村の奇妙な儀式へとジャンプカットして映画は幕を開ける。一夜に三人の生き血を捧げると死者が蘇るという伝承が伝わる村、この日一乗寺家では会食が行われていた。体調不良を訴えた当主が二階の寝室に引き取り、残った客や妻たちが歓談する中、妻の初乃と友人の七尾が当主の様子を見に行くと当主は血を流して死んでいた。駆けつけた女中の三宅らが大騒ぎする中、庭で不審な人物が見つかる。その男は八村というミステリー探検を動画にアップして稼ぐ男だった。

 

八村が疑われ、一乗寺家に引き入れられるが、土砂崩れで村道が寸断され警察も呼べない中、この場を推理していくことになる。当主の友人の五階堂、医師の六車、料理人の二宮、執事の四谷らは、それぞれ何か手掛かりはないかと邸内を物色することになる。ところがしばらくして当主の遺体を安置しようと二階へ行った四谷も殺される。他の面々は五階堂が捨てた毒薬の瓶、六車の鞄にあったフグ毒の瓶、トイレの注射器、四谷の部屋のノート、当主の部屋の七尾の写真、などさまざまを発見したそれぞれが疑心暗鬼になっていく上に誰もが当主を殺すつもりだったドラマが見えてくる。

 

四谷の残したノートから、村はずれのトンネルの先の廃屋にヒントがあると、面々は廃屋へ向かう。そこには、当主の娘で21年前の事件の後行方不明になった当主の娘の遺体があった。そこで、八村は自身が探偵であることを明かし、犯人は六車だという。六車は幼い頃、当主の娘と幼い恋人同士だった。六車らと五階堂の娘と三人で森で遊んでいる時に、ふざけた拍子に五階堂の娘が、落ちていた割れた瓶で怪我をして死んだという事件があり、それを隠すために当主は娘を幽閉し、六車親子を追い出したのだ。

 

六車はこの村の言い伝えで、三人の生き血を集めて当主の娘を生き返らせようとしていた。そして最後の一人の殺害を計画し、揉み合う中で五階堂を刺し殺してしまう。六車は押さえつけられ、このお芝居を撮影しているスタッフが入って来て映画は終わる。エンドクレジットの後、六車が当主と四谷を殺したくだりの映像が流れてエンディング。

 

どう考えても矛盾だらけの展開なので推理ドラマとして破綻しているし、いくら即興芝居でも、役者全員大声で叫ぶばかりで統一性もキャラクターの個性もないし、まさに安直に作ったバラエティにしか見えない仕上がりは残念すぎる映画だった。