くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ポーカー・フェイス 裏切りのカード」「フィリピンパブ嬢の社会学」

「ポーカー・フェイス 裏切りのカード」

脚本、監督をしたラッセル・クロウの思いが強すぎて表現がついていかなかった感じの作品で、カット割もテンポが悪いし、ストーリーテリングも奇妙だし、何より、めちゃくちゃと言う出来栄えの映画だった。

 

美しい景色を背景に自転車に乗る若き日のジェイクと黒人のドリューの姿から映画は幕を開ける。そしてがけの上で他の友達アレックス、ポール、マイケルらとポーカーを始めるが、ジェイクが勝ったものの、金を払えないとマイケルが言い出し、崖から滝壺へ飛び降りたら10ドルやると言い合っているところへ、他の奴らがきて、ジェイクがポーカーで勝負をして大勝ちして勝ち逃げする。

 

ジェイクはある男と何やら深刻な話をし、ケースに入った薬らしきものを貰い受ける。時が経ち、オンラインポーカーゲームのソフトで大成功したジェイクが美術館で絵を見ていると、一人の女性が、ジェイクを絵にしたいからと近づいて来る。タワーマンションの屋上に住むジェイクは愛娘ニコールと後妻のレベッカに声をかけて出かける。一方、政治家になったポール、レベッカと不倫関係のアレックス、アル中で金に困っているマイケルはジェイクの自宅に呼ばれた。彼らはタワーマンションの地下で超高級車をあてがわれ向かうことになる。

 

海沿いの大邸宅にやってきた三人はジェイクに迎えられ、巨額のチップを与えられてポーカーを始める。しかし、あらかじめグラスにドクが塗られていたとジェイクが告白して、それぞれの真実を聞き出そうとするが、この展開がよくわからない。そんな頃、この邸宅の美術品を盗もうと泥棒のヴィクターらが仲間二人と乗り込んでくる。さらに、ジェイクは末期の膵臓癌が見つかったと言う診断書をニコールが発見し、レベッカと一緒に邸宅にやって来る。あれよあれよとめちゃくちゃになって来る。

 

ヴィクターらが侵入したのを知ったジェイク、アレックス、ポール、マイケルらは、避難部屋に入り、監視カメラでヴィクターらを追跡するが、そこへニコールらもやってきてヴィクターらに拉致されたのでジェイクらは反撃に出るために部屋を出る。ここからアクションかと思いきや、ジェイクはヴィクターに対峙し、グラスに塗った毒のことを話し、解毒剤が金庫にあるからと、金庫の金と、以前ある人物に貰い受けた毒薬の注射器を取り出す。ところがヴィクターがその薬を奪い、自分の太ももに刺して脱出するが毒が回り死んでしまう。他の泥棒たちはアレックスらに取り押さえられる。

 

タワーマンションのジェイクの自宅にアレックスらは集まっていた。すでにジェイクは亡くなり、弁護士が遺言書を開いている。それぞれの関係者にそれぞれに遺産が配分され、ジェイクの意味深なナレーション、冒頭のジェイクの絵を描きたいと言った女性が賞をとったらしくインタビューを受けている場面と共に映画は終わっていく。

 

B級でもC級でもない、出来の悪い映画という感じの一本で、物語が完全に破綻している作品でした。

 

「フィリピンパブ嬢の社会学

決して一級品の映画ではないのですが、映画全体がとっても明るくて心地よい空気に包まれているのがすごく良い。見ていていつの間にか自分のこれまでの考え方がちっぽけなのを実感するし、全く違うのですが、なぜか自身の若い頃の人生に重ねてしまうし、爽やかすぎる青春ラブストーリーという感じの映画でした。見て良かったなと思う一本でした。監督は白羽弥仁。

 

就職活動をするわけでもなく、なんとなく大学院に進んだ主人公前田翔太は、論文のテーマにフィリピンパブ嬢の研究をすることに決める。そして、とりあえず行動と思い、フィリピンパブになけなしのお金で向かう。そこで、遊び人のシバタと出会い、自分と同世代の女性をつけてもらう。やがて、そのパブで働くミカと出会う。

 

ミカは翔太より二歳年上だった。日本で働くために日本人と偽装結婚し、三年の契約の後はフリーになるという条件で少ない給料で働いていた。翔太はバイトで稼ぎながら可能な限りフィリピンパブに通うようになる。やがてミカの友達のアキとも出会い、次第にフィリピンパブで働く女性たちの姿が見えて来る。それは、世間一般で認識されているものよりずっと明るくたくましいものだった。

 

アキは妊娠してしまい、目立ってきたからと一旦フィリピンに帰ってしまう。その頃は翔太とミカは恋人として付き合うようになっていて、アキの部屋で逢瀬を重ね始めていた。ミカは休みをもらいフィリピンに一時帰国することになり、翔太も一緒についていく。そこでミカの家族に温かく迎えられ、ひとときの心の交流を楽しむ。

 

日本へ戻ってきた翔太はミカを両親に紹介するが、母の態度は戸惑いだけだった。そんな時、ミカが偽装結婚の離婚を店の会長から言い渡される。三年の契約までまだ時間がある中、戸惑うミカのために、翔太は会長に直談判する事にする。ヤクザだという認識で出向いた翔太は必死でミカの契約の事を詰め寄るが、会長という男は、半分脅しながらも円満に離婚を迫ってきた。その態度に絆された翔太もミカも素直に離婚届にサインする。その帰り、翔太はミカにプロポーズし、自身は通学しながら働き、やがて就職する。会長は実はヤクザではなかったが、結局警察の捜査で行方をくらまし、店も閉店した。こうして映画は終わる。エンドクレジットの後、実際の翔太とミカ、そして二人の子供の写真でエンディング。

 

たわいもない作品ですが、どこか憎めない上に、素直に胸が熱くなってしまいました。これも映画だなぁと思える一本でした。