くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」(4Kレストア版)

「荒野の用心棒」

何回目かの再見、名作「用心棒」の焼き直しではあるけれど、これはこれで名作だと思います。砂煙りを白く見せる演出や、クライマックスの足元から靴だけを写して向こうを望むカメラ構図など、拍手ものです。監督はセルジオ・レオーネ

 

アニメタッチのオープニングクレジットの後、メキシコ国境の宿場町サンミゲルへ一人のガンマンジョーがやって来るところから映画は幕を開ける。この町ではロホ兄弟と保安官のバクスター達が利権を争っていがみ合っている。いきなりロホ兄弟が囲っている女マリソルの息子が泣き叫ぶ場面に遭遇したジョーはこの街を掃除してやろうと思ったかどうか、争い合う二組をケンカさせる計画に出る。

 

街の酒場の親父と仲良くなり、ロホ兄弟やバクスターらを快く思っていない棺桶屋の親父も巻き込んで、ジョーは自分をそれぞれに売り込みながら、たまたま軍が運んできた金塊をロホ兄弟のラモンが略奪したのを見たジョーらは、この事件を使って二組を歪み合わせ、さらにマリソルも助け出して解決しようとする。しかしすんでのところでジョーは捕まってリンチに会う。しかしなんとか脱出して、バクスターらを皆殺しにしたロホ兄弟に復讐しに戻って来る。クライマックスは鉄板を胸にぶら下げてライフルの銃撃をかわす名場面から、一瞬の早撃で倒してしまう大団円へ続いて映画は終わる。

 

シンプルそのもののストーリーはオリジナル版「用心棒」をほとんど踏襲した形になっているが、マカロニウェスタンに焼き変えた横の動きを多用したカメラワークとエンニオ・モリコーネの名曲のテンポで、別の意味での名作に仕上がっています。スクリーンで見てこその一本だと思います。

 

夕陽のガンマン

これこそスクリーンで見るべき一本。画面が大きいし、とにかく作品にスケール感が溢れている。しかも、男臭いドラマにさりげない切ない話を組み合わせた展開がとっても良いし、映画らしい名シーンに溢れている。こういう映画を見るとやっぱり映画は映画館だなと思います。監督はセルジオ・レオーネ

 

列車の中、賞金稼ぎのモーティマー大佐が乗っている。トゥクムカリという町で無理やり列車を停めて降り立ち、ターゲットの男を仕留めて賞金を手にする。そして次のターゲットの元へ向かおうとして、最近新入りのモンコという賞金稼ぎも現れたことを知る。モンコはホワイトロックスという町でお尋ね者を殺し賞金を手に入れていた。

 

監獄で燻るギャング団のボスインディオは、仲間の手助けでこの日脱獄に成功するが彼の首には20000ドルという賞金がかけられる。インディオエルパソ銀行を襲うらしいという情報を聞き、モーティマー大佐もモンコもこのインディオを狙ってやって来るが、インディオの仲間が14人いて手こずりそうだとわかり、お互いに手を組んで賞金を山分けすることにする。

 

モーティマー大佐はモンコをインディオの仲間に入り込ませ、中からと外からインディオを片付ける計画を立てる。モンコはインディオの友達を刑務所から助け出し、それをネタに仲間に入る。インディオは別の街で小さな銀行を襲わせ、エルパソ銀行が手薄になった隙にエルパソ銀行を襲う段取りをする。モンコらに他の銀行を襲わせにいくが、モンコは途中でインディオの手下を殺し、帰り道に襲われて風を装って戻って来る。

 

インディオらがエルパソ銀行を襲うタイミングで一網打尽にしようとモンコとモーティマー大佐は待ち構えるが、インディオはいきなり金庫室を爆破して金庫ごと持ち出すという意表をついた作戦に出たため機会を逃してしまう。そこで、モーティマー大佐はモンコに、インディオ達の逃げる先をうまく誘導するようにアドバイスし、まんまとアグアカリンテの街へ行かせる。そこで、インディオらが手こずっている金庫をモーティマー大佐は開けてやりモーティマー大佐も仲間になる。

 

インディオはとりあえず金を一ヶ月保管しておくと言って一軒の小屋の中のつづらに入れて鍵をかける。深夜モーティマー大佐とモンコは小屋に忍び込み、金を取って袋に入れ、つづらに鍵を閉めて判らないようにして逃げ出そうとするがインディオに見つかってしまう。二人はリンチに会うが、インディオの手下の一人がインディオの命令で二人を逃してしまう。インディオは二人を銀行強盗の犯人に見せかけようとしたのだ。そして、二人と自分の手下を撃ち合いさせて、自分と右腕の男で漁夫の利を得ようと考える。しかし、つづらを開けてもすでに金はなかった。モンコらは捕まる前に袋の金を木の枝の中に隠していた。

 

インディオらとわずかの手下に対しモンコらが立ち向かう。そして最後の最後、モーティマー大佐はインディオと一騎打ちとなる。実はインディオは、かつて愛した女性の形見のオルゴールの鳴る懐中時計を持っていた。若い頃、無理やり手に入れようとしたその女性は自殺してしまい、以来彼女への思いが断ち切れていなかった。一方モーティマー大佐も同様の時計を持っていた。自殺した女性はモーティマー大佐の妹だった。そして一騎打ちの末モーティマー大佐はインディオを撃ち殺す。

 

インディオら大勢の手下の死体を手に入れ大漁に賞金を稼いだがモーティマー大佐はモンコに全てを与えて、自分は夕陽の中に去っていく。木に隠した金を取り、死体を積んだ荷車を引いていくモンコの姿で映画は終わる。

 

クライマックス、丸く置かれた石のサークルでのモーティマー大佐とインディオの一騎打ちシーンから、大きく俯瞰でカメラが引いてのラストシーンはまさに映画の世界です。本物のスクリーン映画を堪能できる一本でした。