くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「結婚三銃士」「惜春」(木村恵吾監督版)「東京ロマンス 重盛君上京す」

「結婚三銃士」

本当にたわいない恋愛コメディで、クサイ演出と演技、適当なストーリー展開は映画黄金期の大量生産時代かつ戦後すぐの突貫工事のような完成度が、時代を匂わせてくれる一本でした。監督は野村浩将

 

化粧品会社の面接に来ている主人公時彦の姿から映画は幕を開ける。女性社長に面接されて採用が決まるが、恋愛御法度という条件がつけられる。しかし時彦には愛子という恋人がいて、早速就職報告を兼ねてのデートをする。そこで、会社の社長の姪である輝美と出会う。時彦は化粧品の営業で一流キャバレーに行きそこで百合というナンバーワンホステスと出会う。百合は時彦がかつての恋人に瓜二つだからとすっかり惚れてしまう。その店で、時彦は幼馴染の君子とも再会する。君子も昔から時彦を思っていたことから、時彦の取り合いが始まる。

 

しかし、時彦が輝美に相談したことから、輝美、君子、百合は協定を結んで時彦は愛子に返すということでお互いアプローチしないことになるのだが、愛子は、島田という新しい恋人と結婚することになる。そこで時彦の争奪戦が再燃、しかしいつの間にか君子は時彦に夢中になり君子の会社の社長も君子と時彦の恋を応援する立場となる。

 

悩んだ輝美は熱海の別荘に逃げてしまうが、社長は時彦に輝美への手紙を持参させる。そこには社長の命で輝美と時彦は結婚すべしという内容だった。時彦が熱海へ向かう途中、百合と君子は時彦を探していて、駅で偶然出会った二人は時彦の後を追う。そして熱海の輝美の別荘で三人が集い、社長の手紙を見た君子と百合も輝美と時彦を応援して結婚となって映画は終わる。

 

たわいのないコメディだが、いかんせん上原謙の大根ぶりが映画をギクシャクさせている、まあそれもまた一興という映画だった。

 

「惜春」

脚本の組み立ては面白いのだが、いかんせん上原謙がどうにもしみったれていて、映画全体にテンポが乗ってこない。それでもギクシャクと悲恋の恋愛ものとコメディを混ぜこぜにした仕上がりになってこれもまた映画の楽しみと割り切ればそういう映画かなという作品だった。監督は木村恵吾。

 

サラリーマン風の男藤崎の会社帰り、一台の車に弁当を轢かれたまま帰宅する。ブギの女王衣笠蘭子の家では大騒ぎで歌の練習、映画会社のプロデューサー、マネージャーなどが入り乱れての大騒動が行われていた。そこへ、お茶を持って入ってきたのは蘭子の夫藤崎だった。蘭子は一か月のツアーに出発で、大騒ぎで右往左往する藤崎はようやく妻を送り出して自分は会社に出かける。

 

一か月の蘭子の留守の間、女中としてたか子という女性がやってくるが、出来すぎた女で、藤崎の心はたか子にしだいに傾いていく。それに伴いいつの間にかたか子の気持ちも藤崎に向いてくる。藤崎は連休の日、たか子を温泉に誘い日帰りで帰るつもりがつい終電を逃し連れ込み旅館に泊まることになる。そしてあわやというところまで行くも、理性を取り戻して、たか子は駅で寝て、翌朝藤崎も駅にくる。そして一本電車をずらして帰ることになる。

 

自宅に戻ったが、蘭子が帰ってくる連絡が入る。たか子らは平謝りするつもりで蘭子を待つが、蘭子は例によって大騒ぎで帰ってきた上、藤崎に妊娠を告白する。結局謝るタイミングもなく、藤崎はたか子を見送って、全て元に戻って映画は終わる。

 

なんのことはない、無駄に湿っぽい大人のラブストーリーという映画でした。

 

「東京ロマンス 重盛君上京す」

森繁久弥の一人舞台、独壇場のアドリブだけでバタバタする映画という感じの一本でした。全体の雰囲気がとにかく貧乏くさいし、コメディがコメディとして機能していない間延びした脚本と演出が妙に飽きてくる映画だった。監督は渡辺邦男

 

東北の田舎の村、村ののど自慢で優勝した重盛が歌手になるべく東京へ向かうという日、村の人たちが送り出す場面から映画は幕を開ける。汽車の中でキミ子という美しい女性と知り合う。重盛は、東京で中華料理屋をしているらしい六兵衛を頼って探すが、成功者と聞いているのに大きな店が見つからず、諦めて屋台のラーメン屋に立ち寄ると、そこが六兵衛の店だった。六兵衛の妻は歌好きの女房で笠置シヅ子が演じている。

 

キミ子はレコード会社からデビューを誘われているが慈善施設の保育園で働いていて、歌手になる気はない。しかし、重盛と再会したキミ子はレコード会社に売り込むべく自分の言い寄ってくるプロデューサーに紹介する。プロデューサーはキミ子をデビューさせるためにキミ子の希望を聞いて重盛にもレコーディングさせるが、NHKののど自慢でも落ちてしまった重盛はキミ子のレコードのB面にかろうじて入れてもらうだけだった。

 

キミ子の歌はヒットするが、キミ子は保育施設の太陽先生の手伝いを希望していた。一方、重盛はキミ子にプロポーズしようとするがキミ子は太陽先生と結婚する決心をしていて重盛は失恋、歌手にもなれず田舎に戻ってくるが村人に歓迎され映画は終わる。

 

とにかく、森繁久弥はこんな普通の役者だったかと勘違いするほどの好き放題のアドリブ大根演技に辟易としてしまう。この後「夫婦善哉」で名優ぶりを余すところなく発揮するかと思うと、驚くような一本だった。