くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「陽のあたる坂道」(渡哲也主演版)「赤いグラス」「あなたの命」

「陽のあたり坂道」

なんども映画化されている原作の渡哲也主演版ですが、沢山の映画化作品の中では上位に位置する一本じゃないかと思います。全体がまとまっているし、嫌味のない構成と展開が綺麗にできています。脇役の演技力に負うところが大きい気もしますが、良い映画でした。監督は西河克己

 

物語は今更ですが、裕福な田代家の次男信次が犬の世話をしているところへ、信次の妹くみ子の家庭教師に倉本たか子がやってくるところから映画は始まる。くみ子の足は幼い頃、梯子から落ちて怪我をして片端になっている。信次には兄雄吉がいる。実は信次は雄吉と血が繋がっていなくて、父玉吉が芸者に産ませた子供だった。

 

そういう人間関係を背景に、家族の絆、信次とたか子のラブストーリーが展開していくことになる。登場人物それぞれが丁寧に描けている上に、主人公二人への焦点がブレないので、物語がしっかり見えています。誰が悪くもなく、卑屈に終わるわけでもなく、青春映画の爽やかさをしっかり残した演出は流石に西河克己、うまい。

 

ラストは、たか子から綺麗に身を引く兄雄吉と、たか子と信次の恋は成就するエンディングで映画は終わる。気持ちいい仕上がりの作品でした。

 

「赤いグラス」

典型的な日活アクションで、船乗りの主人公が父親の仇を討って、女は寄せ付けずにまた船に乗って去っていく。「赤いグラス」という歌謡曲をテーマに描かれる作品ですが、かなり荒っぽい脚本で、一瞬何のことかと思うほどストーリーが飛んでいきますが気楽に見れる映画でした。監督は中平康

 

主人公速水が、父が興した海運会社の息子で、父が殺されたと思っている。海運会社の後釜に座った男が犯人と知り、その復讐に立ち上がり、最後はその悪事を暴いて再び船に乗り去っていく。

 

当時でも、かなり型にはまってマンネリ気味のストーリーだったと思いますが、いわゆるスター映画なので渡哲也が暴れればそれでいいという作品。だからこそ時代のノスタルジーに浸ることができます。その意味で楽しかった。

 

「あなたの命」

これまた、安易なストーリーのアクション映画でしたが、スター映画なので、渡哲也が活躍すればいいというものでしょう。楽しかったです。監督は斎藤武一。

 

主人公火野隆三が刑務所を出てきて馴染みのダンサーの楽屋を訪ねるところから映画が始まる。芸能プロダクションを経営する火野は、ちょっとした喧嘩で逮捕されたのだ。しかし戻ってみれば、競争相手の悪徳芸能プロダクションが縄張りを荒らしていた。

 

そこで正義感の主人公は、悪徳芸能プロダクションをやっつけるという展開となるが、そこにダンサーとのラブストーリーが絡んでいく。そしてそのダンサーが白血病で危ないということで、母親を探し、ハワイにいることがわかって、主人公とダンサーが飛行機に乗り旅立ってエンディング。

 

なんとも、即興で作った感じの物語ですが、白血病やハワイへの旅立ちなど当時の世相が反映されていて、その意味では面白い作品です。