くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「インファナル・アフェアⅢ終局無間」

ついに完結「インファナル・アフェア」トリロジー、すべての謎はこの作品ですべて完結しました。そして、すべての物語が一つの輪になったのです。

アメリカ映画のように会社のタイトルバックからして派手なCGなどでてきません。きわめてオーソドックスなタイトルから始まるこのシリーズはこの最終章においても全く変わらないのです。
そしていきなり物語はこの三部作を象徴するエレベーターのシーンから始まります。

そうです、エレベーターこそがその第一作のクライマックス、そしてすべての輪廻の始まりであったかもしれない舞台なのです。
警察に潜入しているラウはこの後どうなるのか?という問いかけで終わる第一作「インファナル。アフェア」、そして、ラウとヤンの人生の前章とでもいうべき「インファナル・アフェアⅡ」、それらの謎がいよいよこの第三作で次々と明らかにされ、そしてさらに前半部分では新たな伏線が張られて謎を呼び起こします。

2003年の現代から、過去へ、そして第一部の舞台の2002年へと、錯綜する時間の中で複雑に展開する二人の人生とその心理の葛藤。もう、見る者を引き込んでいかないわけにはいかない複雑かつ胸に迫る展開は、見事な演出力によって私たちの頭を混乱させることなく進んでいきます。

潜入マフィア、ラウ捜査官の心の変化が第一作以降どのように変化し、そしてなぜ第一作のラストであんな行動になったのかを見事に描くと共にヤン(トニー・レオン)の周りを取り囲む人々が鮮やかに描かれ、第一作で見せた見事なスピード感と物語の組み立てによる卓抜した演出はこの作品にも十分発揮されて、一方で手に汗握りながらももう一方で彼ら主人公たちの胸の内がまるで手に取るように伝わってくるのです。

さらに、この三作目に登場するヨン捜査官の存在、大陸の大ボス、シェンの存在が物語のキーポイントになっていく後半部分の展開は見事というほかありません。
クライマックスを迎えた後も今までの登場人物やその行動の軌跡がいかに密接につながり一つの輪の中に収まっていくのかを丁寧かつ大胆に描いた演出手腕に拍手を送りたいと思います。

今、世界の映画界の頂点の作品が一本あったとしたら、このインファナル・アフェア三部作はその頂点を遙かに越えた別格の傑作映画ではないでしょうか。是非、何度も見返していただいて新たな発見をしてほしい映画です。すばらしい!

こんな傑作なのにシネコンはことごとくプログラムからはずしています。いったいどうなっているのでしょうか?
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