くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハイドアンドシーク暗闇のかくれんぼ」

ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ
ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ

ジャパンホラーが世界中を、特にアメリカ本土を度巻きし、恐怖に陥れている昨今、ここに来てハリウッドはまるで挑戦するかのように名優ロバート・デ・ニーロと人気子役ダコタ・ファニングを投入してホラーを作り上げた。

決して最後ははなさないでください、と念押しまでしてもったいぶった宣伝を展開。公開を待ち望む中でついに公開されたのです。

まず最初に、やはりジャパンホラーは怖い。この「ハイドアンドシーク」など問題にならないのです。つまり、この「ハイドアンドシーク暗闇のかくれんぼ」はその期待も大きかったのか、気負いがありすぎたようで、ホラーとしての常道がほとんど見られないのです。

冒頭シーンの妻の自殺から一気に本編に入ろうとするのですが、そこにリズムがないのです。
悲しみとショックをいやすように引っ越しをする親子、その引っ越しにはせっぱ詰まった物も、そしてこれからおこる恐怖への何の伏線もなく、淡々と引っ越し先へ行ってしまう。

その引っ越し先で、この物語の陰の主人公チャーリーが表立ってきますが、そのミステリアスさはほとんどなく、このあたりでだいたいのネタバレが見えてきます。
ただ、注目すべきシーンがあります。
初めてチャーリーが殺人をし、バスタブでその死体をデ・ニーロが発見する場面でのダコタ・ファニングに詰め寄るときの小刻みかつ大胆なカット、この瞬間のシーンはなかなか見事といわざるを得ません。
バスルームから子供部屋へそしてじっと座るダコタ・ファニングの姿、詰め寄るデ・ニーロ、この短いカットは見事。このシーンを見ただけでも見た甲斐があるというものです。

しかしその後はほとんど恐怖心をあおるシーンはないし、誰もがあっけなく殺されるし、隣人の男の存在もありきたりだし、いったいハリウッドはどうしてしまったのでしょうね。

<ここからネタ晴れします>
それにしても包丁を振り回して迫る・・の姿はまさしく「シャイニング」のジャック・ニコルソンです。しかもご丁寧に白いドアに突き立てる場面まである。
また、あの「キャリー」のエイミー・アービングがお母さん役で出ているのですが、さすがに年をとりましたね、気がつきませんでした。

それと、引っ越し先で家の向かいに木の枝でこしらえたような井陸地が森に向かってあるのですが、あれは「ペットセメタリー」へのオマージュでしょうか?でもこのオブジェもその後にでてくる洞穴もほとんど意味がない。いったい何のための伏線だったのでしょうか?

ラストシーン、要するにダコタ・ファニングも・・・ということなのでしょうが、あまりにもあっさりと終わってしまう。この後あの女医さんが恐怖に会うことは想像できるとしてもその前後に丁寧な演出がないために、せっかくのどんでん返しが全く生きてこない。

結局、こうして徐々にアメリカ映画はアジア映画に押されて行っているのでしょうね。
ちょっと残念な映画でした。
最後にやはりダコタ・ファニングは笑った顔の方がかわいいね