くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ニューワールド」

ニューワールド

テレンス・マリック監督が久々に放った作品は壮大な叙事詩。かつてアメリカ大陸が新大陸としてヨーロッパから続々と移民が進んでいた頃、いやもっと前、これから開拓を始めようとしていた頃の物語。

前作「シンレッドライン」も戦争映画ながら不思議なくらいの芸術性を持たせて格調の高い映像美の世界を作り上げてくれたのであるが、今回もご多分に漏れずに私たちを魅了してくれました。
映画が始まると、中世のような古い地図が画面いっぱいの広がり、河の流れを少しずつくっきりとしていきます。開拓者たちが進んでいく道筋を見せてくれるかのように。

画面は美しい水辺のシーン。その水の美しいこと。ピントがゆっくりと合ってくると水面を映し出していた画面はいつの間にか川底へ移り、流れてくる木の実のような物が水面を覆っていきます。バックにはジェームズ・ホーナーの美しい音楽が流れ、その音楽を引き立てるように画面が展開していきます。このシーンはまさにテレンス・マリックの世界でしょうか。

物語はイギリスから開拓のために新大陸にやってきた開拓者の一人(コリン・ファレル)が現地の王の娘ポカホンタスと恋におちるというもの。
といっても単なる開拓者の苦労話でも、住む世界の違う者同士の恋物語でもありません。まるで壮大な交響詩が映像の世界となってスクリーンに展開するのですから見ている私たちは圧倒されると言わざるを得ませんね。

なんせ、全編交響詩を聴いているような物語展開、というか映像展開と言うべきか。はっきり言って美しい映像と物語がまるでクラシックを聴いているように進んでいくのです。そこには訴えかけるような主張も見られず、ただひたすら流麗な世界がスクリーンを覆っていきます。

といってもはっきり言って長いです。良い映画だし、美しいし、本当に滅多に見られないほどの映像芸術ですが、テレンス・マリックで無ければ見ないでしょうね。でも見る価値が十分すぎるほどに十分あって格調の高さは素晴らしいですね。良い映画を見たという感想でした。