くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ブラック・ダリア」

ブラック・ダリア

大好きなブライアン・デ・パルマ監督の久々の新作がやってきた。
ブラック・ダリア
実在の猟奇殺人事件を取り上げたジェイムズ・エルロイ原作の映画化である。
ジェイムズ・エルロイという人は「L・Aコンフィデンシャル」を書いた人なので、この手の警察ものは得意なのだろうか。

さて、今回の「ブラック・ダリア」、ブライアン・デ・パルマ監督のお得意の長回しとフラッシュバック、回転シークエンスにヒッチコックの名作を借用したようなシーンなどなど、ブライアン・デ・パルマファンを十分にうならせる名シーンの数々を見ることが出来て大満足。

出だし、ゆっくりと一人のボクサーにカメラが寄っていく。これから一試合あるのであるが、その対戦相手は警察での同僚である。
ここでフラッシュバックされて、二人のコンビの出会いのいきさつが見事に紹介されます。

そして、タイトル、さらに二人が戦うことになるいきさつから、ボクシングの試合のシーンへ。
この試合のシーンからまずは度肝を抜かれる迫力のシーンの連続なのです。ばしっ、びしっと殴り合う場面はこちらまで痛みが伝わるほどにリアリティ抜群。

やがて、試合の後から物語は本編へと進んでいきますが、この映画の中心事件である「ブラック・ダリア事件」が発見されるあたりの大きく回されるクレーン撮影?(それにしては舞い上がりすぎますね。ラジコンへりでしょうか?)、ビルの屋上から死体を発見した女性の叫ぶシーン。別の事件で犯人を射殺する主人公たち二人の銃撃戦へとつづきます。

これがブライアン・デ・パルマですね。もう陶酔の世界です。

つづく見せ場はたくさんありますが、やはり、相棒のリーがkろおされる場面はこれこそブライアン・デ・パルマの映像芸術の極致です。
階段上るバッキー(ジョシュ・ハーネット)、背後から首を絞められるリー(アーロン・エッカート)、さらに影の存在となるもう一人の人物の登場。そして、階段の踊り場からの転落、この階段がヒッチコックの「めまい」の階段と同じである。

もう、うっとりするほどの映像芸術の世界がこれでもかと展開していきます。

そして、後半からクライマックスは、お得意のフラッシュバックの連続で、謎を一つ一つ解いていきます。このあたりは「ミッション・インポシブル」の第一部のクライマックスと同じ手法ですね。

ということで、ブライアン・デ・パルマ監督の映像に酔いましたが、なんと撮影はヴィルモス・ジグモント、懐かしいですが名キャメラマンですね。これもまた感動でした。

でもでも、今回のブライアン・デ・パルマ作品はちょっと映像が複雑すぎて見ている間は物語が理解できませんでした。このあたりのストーリーテリングのうまさはスピルバーグがピカイチですね。

ところでヒロインを演じたスカーレット・ヨハンソン、まるでヒッチコックの映画に出てくるグレース・ケリーにそっくりに見えることもありました。このあたりもやはりブライアン・デ・パルマですね。