くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「蒼き狼 地果て海尽きるまで」

蒼き狼地果て海尽きるまで

懐かしい大好きな名作「Wの悲劇」の澤井信一郎監督で、これまた大好きな角川春樹製作の大作「蒼き狼 地果て海尽きるまで」を見る。

正直、薄っぺらな大作映画だろうと高をくくっていた。冒頭部分から、人間が描けていないなどとえらそうに思いながら見ていたのだが、なんと、最後まで見終わるとなぜか心の中に何ともいえない感動が残った。

物語はモンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンの半生である。しかし、映画の主題は父チンギス・ハーンと息子ジュチとの父と子の物語であり、兄弟同様にちぎりを交わした友人との物語であった。

ちょうど、今の自分の息子がこの映画のジュチと同様の年代でもあり、感覚的に重なる部分もあって感情移入したのかもしれないが、反町隆史が「男たちのYAMATO」についで、見事な熱演で見せてくれるのです。

もともと、私は彼はテレビの俳優という印象が強く、あまり好んでいなかったのですが、最近はこの人のひたむきな演技に心打たれることがよくあります。
この「蒼き狼地果て海尽きるまで」でもラストで息子を抱きかかえ号涙するシーンではなぜか胸が熱くなりました。

父が子に対する期待と、想い、子の父に対する感情が微妙に重なり合ったこのシーンは今の自分の境遇の中で考えさせられるところが多分にあって、思わず、自分の最近の言動などが心をよぎってしまいました。

大スペクタクルシーンは今や常識となったCGによる群衆シーンで、今更珍しくもありません。しかし、そのシーンはこの映画の見せ場ではないところが、この映画の良さではないかと思うのです。

登場する俳優さん一人一人が本当に魅力的で、心惹かれるのです。
妻を演じる菊川令、母を演じる若村麻由美(この人本当にきれいですね)などの女優人はもちろんですが、主人公を囲む袴田吉彦(弟役)、松山ケンイチ(息子)、野村祐人、平山祐介らが本当に素晴らしい。

これだけ、癖も個性もあるのに主人公を見事にたて、それでいて自らの存在感を見せつける演技力に脱帽でした。

おそらくこの映画はそれほど批評家の目にとまらないかもしれません。でも、私はなぜかこの映画が好きです