くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「サウスバウンド」「ローグアサシン」

サウスバウンド

森田芳光監督は「椿三十郎」を撮っているのではなかったか?と思ってしまったくらいに突然、公開を聞いたこの「サウスバウンド」を見に行ってきたのです。

正直、片手間に撮った作品であるところが見え見えでした。丁寧に時間をかけた演出がなされていない。豊川悦司天海祐希などの熟練俳優はそれなりに登場人物をつかんで演じているので、何とかなるが、子役のそれぞれに全く演技がつけられていない。いくら天才子役といえども、やはり監督の手で演技をつけないとひからないのである。

そんなたどたどしい子役たちの姿を見て、「ぁあこれは十分な時間もなく大作の合間に作った作品だ」と納得してしまった。
宣伝フィルムでは主人公たちが西表島に行ってからの生活部分がメインであるかのように見えるが、現実には東京でのシーンが非常に長く、西表島に移ってからの場面はほとんどクライマックスである。

とはいえ、東京でのシーンよりも若干映画のテーマが面にでてくるのと、ちょっと映画として楽しめてくるのがこの西表島でのシーンなので、この部分をみていると何ともいい映画である。

しかしながら、映画全体に全くリズムがない。「間宮兄弟」のようなテンポが全然感じられないのである。
そしてスタッフキャストをみて歴然、なんと制作は角川歴彦、主演豊川悦司、共演に松山ケンイチ、さて、一方の「椿三十郎」は制作は角川春樹、共演に豊川悦司松山ケンイチなのだ。これはおもしろい発見であった。

もう一本はしごをした。ジェット・リー主演の「ローグアサシン」
これはなかなかおもしろかった。テンポのいい音楽と、細かいカットつなぎで進めていくストーリー展開、スピーディーなので退屈しない。それに、なんかわからないが、香港系のマフィアと日本のやくざの抗争にジェット・リーの超一流の殺し屋が絡んでくるストーリーはとにかく見せてくれるのです。

ジョン・ローン石橋凌ケイン・コスギ、などの東洋のスターを従え、アメリカからはジェイソン・ステイサムを加えての豪華、異色のキャストにおもしろさも倍増というものでした。

とにかく、展開がスピーディ、しかも、妙に複雑に絡み合った物語、そして、やっぱりジェット・リーのアクションが何ともすばらしい。特に二枚目でもない上に、長身でもない彼が、ここまで存在感をスクリーンの中で見せてくれるのは、ひとえに才能といわざるを得ないでしょう。

アラをさがせば、女性と子供を助けるという意図が妙にわざとらしいし、ラストのでどんでん返しも、あんまり効果もなくて、あっといわせられないけれど、それでも、爽快なほどに人を撃っていく殺戮シーンは、残忍さより、あっさりと見えてしまって、あまりにもさばさばしているものの、くどくないし、脚本が丁寧なのか無駄もない。演出の弱さもないわけではないものの、それなりに最後まで楽しめるいい映画に仕上がっていました。

たまにはこうした、アクションをのんびりと楽しむのもほんとうに映画のおもしろさがわかっていいですね。