くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「(500)日のサマー

(500)日のサマー

全米で単館公開からヒットしたために拡大公開された話題の作品ということで「リトル・ミス・サンシャイン」のような掘り出し物を期待して出かけた。
(500)日のサマーというのはいわゆる500日間の男女のラブストーリーだと思っていたが、パンフレットにも書かれているとおり、これはラブコメでも青春ストーリーでもない。まさにいまどきの若者たちのボーイミーツガール映画である。

タイトルから、イラストタッチのニューヨークの町並み、そしてそこにかぶるスプリットスクリーンによるタイトルバックはかなりおしゃれだがどこかちぐはぐなのが気になった。
今ひとつリズム感のない導入部なのだ。

物語はます主人公トム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が付き合っていたと思っていた女性サマー(ズーイー・デジャネル)とうまくいかなくなったところへ友人の小学生の少女が駆けつけるところから始まる。
・・・日、・・日というタイトルをはさみながら出会いから別れまでをスクランブルしたストーリーの面白さはかなり期待できたものだったのだが、どうもいつまでストーリーが進んでも今ひとつ乗ってこない。せりふや画面にちりばめられたコミカルなシーンにも今ひとつさめたところがあって笑えない。

冒頭のちょっとおませな少女の存在をもっと効果的に使っててもよかったとも思うが、これも今ひとつ生きていない。せりふと一つ一つが生きてこないためにいつまでたってもこの映画の世界に入り込んでいかないのである。マーク・ウェブという人はビデオクリップ出身の監督ということでちょっと不安があったがまさにそのとおりで、一本のストーリーにリズムを作り出せていないのだ。

彼女と初体験し、町に出た主人公がミュージカルシーンよろしくダンスするシーンはわくわくするほど躍動感にあふれている。いよいよここからこの映画の面白さが満喫できるかと思えば、すぐにもとのパターンに引き戻されてしまう。

奇抜なシーン展開の面白さを生かしきっていないのである。脚本が弱いのか、演出が映画というものを理解していないのか、なんとももったいない題材である。
主人公トムのちょっと今風の若者の姿、お相手のちょっとぽっちゃりがたのかわいい彼女サマーもなかなか設定は抜群なのに、なんとも口惜しい作品でした。

でもあれだけヒットしたのだから、この映画を十分に楽しんだ人もいると思いますが、劇場の中のムードも今ひとつだったように思います