くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった

それぞれの登場人物がそれぞれの人生の目標を見つめ直していく、本当に静かな映画でした。

物語の中心は主人公筒井肇(中井貴一)が大手電機メーカーの役員を目前に控えて、突然退職、地元島根で地方鉄道の運転手になろうとする話である。
しかし、主人公の妻もようやく夢であったハーブショップを開業したばかり、娘は就職活動の真っ最中だが、目標が決まらない。主人公が転職した地方鉄道には野球でプロになる寸前で肘を痛めあきらめざるを得なかった同期入社の若者もいる。

それぞれがそれぞれの目標を見失い、ようやく発見したものにわずかな迷いが生じている人たちが物語を紡いでいく。

カメラは主人公と娘、主人公と母、主人公と妻などそれぞれの会話のシーンでゆっくりと動きながら丁寧にとらえていく。時間の流れがまるで大河のようにゆっくりと進んでいくという画面づくりがなんともいやされてしまう。背景には美しい田舎の自然が広がっている。

主人公が電車の車掌になるという前半部分、母の入院を絡めて、それぞれの登場人物が一抹の迷いの中自分の目標を確固たるものにしていく後半部分が丁寧な脚本づくりで描かれていくので、全然飽きさせない。時折、ほんの些細な事件がちりばめられ、かなり現実離れしたおとぎ話のようなショットもたくさんみられるが、それをリアリティがないと批判したらこの映画の意味はなくなってしまう。

2時間以上ある作品にもかかわらず、全然退屈せずに最後までみることができました。こういう映画もたまには見ることも大切だと思います