くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「2001年宇宙の旅」「リトル・ランボーズ」

2001年宇宙の旅

「2001年宇宙の旅」
何十年ぶりにみたことか、もう一度みるならシネラマに近い巨大スクリーンでと思っていたが、今回の午前10時の映画祭ではやや小振りのスクリーンだったのは残念。とはいえ、今回は素直にラストシーンに感動してしまった。

もちろん、ストーリー自体は単純であるし、ある意味退屈である。しかしこの2時間30分近くを最後まで引き込む魅力は未だに色あせない完璧に近い特撮もさることながら、スタンリー・キューブリックの卓越した独創的な映像づくりにある。

しかも、10分あまりしかせりふがないにも関わらず、映像で見せるストーリーテリングのうまさ、全体の中で配置するスリリングなショットの構成の確かさはやはり巨匠の名をほしいままにできる才能ゆえであると思う。

もちろん、SF映画の金字塔としての欲目にみた素人意見も入っているかもしれない。しかし、この作品をキューブリックが意図したことを完璧に理解できる才能は私にはないことは事実なのだ。だから、感じられる範囲でこの映画に素直に感動できた今回の再見は正解だったと思う。

さらにもう一点、やはり音響効果が抜群に良くなっている。かつてみた大阪梅田の0S劇場も大阪一音響設備のすばらしい映画館でしたが、今回の臨場感はまさに絶品、ディブの息づかい、HAL9000の不気味な無音感がこの作品のレベルを間違いなく向上させている。その点は今でなければ実現できなかったことだろう。

これがかつてのシネラマの画面なら申し分ないのに、それだけが心残りだが、何度つぶやいても仕方ないので、ここまでにしようと思います。


「リトルランボーズ」
せっかくのおもしろい題材とちょっと遊び心満載の映像づくりがどっちつかずのストーリー展開という脚本のまずさか、監督の演出のポイントのずれか、ちぐはぐに完成された惜しい作品として完成されていました。

主人公は宗教に厳格な家族の元にいるウィルという少年。そして学校でたまたま知り合った悪ガキカーター、この二人の「スタンド・バイ・ミー」のようなストーリーとして描かれるべき展開なのに、そこにフランスからきたあか抜けた少年のエピソードが乱入してくるし、カーターとその兄の兄弟愛の話が入ってくるし、宗教の規律を強制しようとするウィルの母に気のある男の物語も絡んでくるし、なんともどれもこれもにウェイトがかかりすぎて主人公が誰かさえわからなくなるほどの支離滅裂な展開になってしまった。

アニメシーンを挿入したり、ファンタジックな妄想シーンをいれたりと楽しい映像が満載なのに何とももったいないのである。確かに、この宗教規範については全く知識がないのであるが、それはさておいても脇役が表に出過ぎている。というのか演出の力のいれ具合がどれもこれもに比重がかかりすぎて、主人公ウィルを中心とした門御あたりがかすんでしまっている。

映画が始まると、「ランボー」の上映している映画館。そこでビデオで盗撮している不良少年へカメラが写る。須知にコミカルでテンポの良い曲と共にタイトル。
一方の主人公ウィル、厳格な家庭で、ほぼ毎日の教会通い。そんななかでパラパラ漫画や空想に浸りながら夢見る毎日を過ごしている。
そんなふたりはふとしたきっかけで学校で知り合う。そしてカーターにいわれるままにカーターの部屋に入ったウィルはそこでカーターが盗撮してきた「ランボー」のビデオを見て夢中になってしまう。そして、作りかけのカーターの映画に「ランボーの息子」という設定で参加する。

ところがこの学校へフランスからの留学生がやってくる。あか抜けたいけ好かない男子だが、見た目がかっこいいから学校でも話題に。この少年への演出のウェイトが高すぎて、このあたりから映画は横道にそれたりしてウィルたちの行動が希薄に見えてくる。
結局、ラストシーン、留学生は帰っていき、映画館でウィルたちの作った映画を上映してもらってそれを見るカーターの姿と、仲違いしたウィルとふたたび仲良しになってハッピーエンドである。

脇役が個性的すぎるのかもしれないが、主人公ふたりの物語が浮き上がってこないのが残念な一本でした