くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「信さん〜炭坑町のセレナーデ〜

信さん

平山秀幸監督作品なので、全くはずれでもないだろうと思って出かけた。評判もそこそこに良かったというのもある。
ずば抜けて良かったわけではないけれども、見て損のないきれいなドラマでした。

高度経済成長まっただ中、とある炭坑町を舞台に、そこへ都会から戻ってきた美しい女性美智代とその一人息子守が炭坑町の信さんという一人の男の子と織りなす青春ストーリーである。

炭坑町の長屋の描写が非常に美しく、活気あふれる冒頭のシーンでの群衆ショットは目を見張るものがある。
せせこましいながらもどこか暖かさを感じさせる美術セットは特に目を引かれました。

信さんの父が亡くなった寄るに降る雪景色がなんんとも幻想的でかつもの悲しい。このショットを境に、信さんは次第に大人の世界に入り込んでいく。生活のために新聞配達をし、次第に守と疎遠になっていく。そして時が流れて、高度経済成長の頂点1970年代へと突入。すでにそれなりに大きくなり思春期を迎えた信さん、守、信さんの妹などの物語にはいってくる。

密かに守の歯は美智代に心を寄せる信さんの思春期の甘酸っぱさを描きながら、やがて都会へでていこうとする人たちも増え、周りの社会の変化、炭坑の寂れていく時代の流れが描かれ、物語はクライマックス、落盤事故による信さんの死屁と展開していく。

やがて、炭坑も閉山になり、再びこの町を後にする美智代と守のショットで映画が終わります。
ネットの評判ほど秀でた作品とは思いませんが、中孝介テーマ曲が抜群にすばらしく、ラストで歌声が流れると、目の前で展開したひとときの物語がジワリと思い起こされてきます。やはり平山秀幸監督作品らしく、ある程度のレベルの映画だったと思いました。