くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ロビン・フッド」

ロビン・フッド

架空の人物ながら何度も映画になった伝説のヒーローであるが、今回はそんな彼がヒーローになるまでを描いたいわばビギニング物である。しかしながら、戦闘シーンのおもしろさはさすがにリドリー・スコット監督的を射ていると言うほかない。前半から中盤にかけてのドラマティックな描き方、そしてサスペンスフルな歴史の史実を微妙に取り入れた演出から、一気にクライマックスカメラはいきなり豪快なほどに俯瞰からロング、さらに大移動撮影とダイナミックに動き始める。そして展開するイギリスとフランスの戦闘シーン。これこそコスチューム物のエンターテインメントの常道とも言うべき組み立てですね。本当におもしろかった。

物語はイギリス獅子王リチャードの治世。彼について射手として従軍するロビンの姿から映画が始まります。やがて、次々とフランスの城を攻め落としたもののふとしたことで王が落命。その機にうまく脱出しないとあぶないと仲間数人をつれ鮮烈を離れるロビン。しかし彼の前に王の王冠を祖国へ届ける使者がならず者に襲われ落命するのに遭遇。その王冠をもって祖国へ帰るすべを考えたロビンがそのままイギリスへ。

運命は次々とロビンを英雄へと導いていくさまはまさに史劇物の醍醐味です。そして当然のように後継者の王ジョンは出来が悪いときている。悪政が始まったイギリスで、王冠を携えていた使者との約束でノッティンガムへロビンは向かいます。この田園的なシーンは実に美しく、後半に続くいわば静のシーンであるといえます。

一方、ジョン王の親友と思っていた男はフランスと密通し、フランス軍をイギリスへ誘いいれんと画策する悪人であったところから、ロビンは祖国イギリスの英雄となるべくストーーリーがどんどん展開して、物語はどんどん動のシーンへと動いていく。

その間にロビンの父親のエピソードなども語られ、やがてクライマックス。フランスとの激戦に勝利したロビンたちにジョン王は当初の約束を反故にしてロビンを宿敵として追いつめるおふれをだします。こうして、ロビンは後に伝説になる仲間たちを連れて森の奥に入っていくところで映画は終わります。
しかし、なんともラストシーンまでの展開のおもしろいこと。もちろん、所々に粗や欠点はあるかもしれませんが、「グラディエーター」で見せた見事な演出の冴えがこの作品にも十分に発揮されていました。本当に映画っておもしろいですね。そんな一本でした。