くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「悪魔を見た」

悪魔を見た

まったく、韓国映画独特のしつこいほどの即興的な展開とこれでもかと思えるグロテスクな残酷描写、さらに汚いものも覆い隠すこともしないお国柄的な映像を堪能して、さらに胸焼けしてしまうような作品でした。

ストーリーが実に単純。フィアンセを猟奇的な殺人鬼に殺された主人公スヒョンはその殺人鬼を追い詰め、痛めつけては逃がすことを繰り返しながら復讐していく物語。やがてその殺人鬼ギョンチョルも対抗してスヒョンに向ってくるという終盤の展開へとつながっていきます。

やたら殴り殺す描写やトイレのそのままの汚物の描写などは韓国映画ならでは描写には目を背けたくなりますが、それよりも、映画を作りながら次の展開を考えていったかのようななんの起承転結も無い殺戮シーンの繰り返しは2時間以上の長尺にする意味があるのか疑問が浮かんできます。

結局、フィアンセの家族さえも逆に殺され、その復讐にギョンチョルの家族にギョンチョルの死ぬところを見せて復讐を遂げるラストシーンはなんともしがたい感覚を呼び起こしてきます。

復讐する側が悪魔に変貌していく狂気を描きたいのかと思えばそうでもなく、といって殺人鬼の狂気的な雰囲気も伝わってこないのはアメリカ映画などに見られるサイコキラーとはちょっと考えかたが違うせいでしょうか。

結局、抑揚の無いストーリーとこれといって工夫の無い殺戮シーン、画面すべてが真っ赤にしか見えない映像演出、これがオリジナリティだといわれればそれまでですが、園子温監督の「冷たい熱帯魚」と「ソウ」シリーズを混ぜ合わせたような作品だったという感想だけが残りました