くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「殺人容疑者」「無警察」

殺人容疑者

丹波哲郎生誕百年祭で、本名丹波正三郎でクレジットされているデビュー作、二度目の再見。非常にシンプルな刑事ドラマという作品で、1952年当時の渋谷の景色、さらに映画俳優を使わず劇団員中心で配役したリアリティ、警察の全面協力で本物の拳銃や手錠を使用して描くなかなかの一本でした。監督は鈴木英夫

 

渋谷の街の風景から、一人の男が死体となっている殺人現場にシーンが移る。駆けつけた刑事たちが捜査を開始、出入りしていた飲み屋のマダムに事情を聞こうとしにいくが、殺されていた。そこから当時の科学捜査の模様が描かれて、地道な捜査場面が繰り返される。やがて、金子という一人の容疑者が浮かび上がるが、逮捕したものの保釈され、その後死体で発見される。この男が出入りしていた木村商事の社長木村が犯人であると、目星をつけたところから、木村が真犯人であるという垂れ込みが入り、刑事たちは木村を追い詰めていく。

 

列車から逃走し、ホテルに潜伏するも発見され、下水に逃げ込み、最後は列車の操作場で追いつめられ逮捕される。渋谷の雑踏を写し、何事もない社会の一辺で起こった事件であるというナレーションで映画は終わる。

 

クライマックスの、下水道に追い詰め、木村の存在を確認した刑事が、目配せして、木村を誘き出し、線路上で包囲して逮捕する緊迫シーンは実に面白い。犯罪の動機や裏の事情、推理展開などにはこだわらず、地道な捜査を淡々と繰り返す描写が実にリアリティがあって見応え十分です。傑作とかそういうのではないかもしれませんが、なかなかの一本でした。

 

「無警察」

普通にサスペンス映画という感じですが、時代色が強く、やたら銃撃戦が繰り返されるのと、悪者の拷問シーンや殺戮シーンはさすがに、あり得ないやろという程面白い。でもこれが娯楽映画なのかもしれません。監督は小森白。

 

目のクローズアップ、カメラが引くと二人の男が電車の中を人を探している風である。胸にバラをつけた男に近づき、次の駅で降りるように指示、車に乗せて、湖畔で睡眠薬を注射して殺害、自殺に見せかける。場面が変わると、北村が故郷の駿河へ戻ってくる列車の中、向かいの女性にタバコの火をつけてもらう。冒頭で殺された男は極南商会の男で、麻薬を横取りされたらしい。横取りしたのは松崎組の社長。

 

北村は地元の県会議長今泉の娘玲子の自宅に招待されていた。一方今泉は松崎からゴルフ場の土地の件で交渉されているが今泉は拒む。その今泉を帰りに契約書に印をもらった上で車ごと線路に突き落とし殺してしまう。今泉の死に不審を持った北村は独自に捜査を進める。今泉の転落現場に行き、そこで原田刑事と出会う。彼も不審に思っていた。

 

北村は新聞記者で、列車の中であった女は松崎の愛人のはるみだった。松崎はその後も極南商会の麻薬を横取りし、その運び人を殺していた。さらに、殺人を目撃したはるみの父も殺してしまう。そんな松崎に嫌気がさしたはるみは自室に盗聴器を仕掛け、松崎の自白の証拠を録音する。途中で気がついた松崎は、はるみがテープを北村に渡す現場に駆けつけはるみを拉致する。

 

事務所で松崎がはるみを痛めつけようとしているところへ北村が飛び込み、結局二人共捕まってしまう。電気の拷問で北村が殺されそうになるが原田が駆けつける。しかしさらにピンチになる。そこへ、警察隊が踏み込み、銃撃戦の末、観念した松崎は投降する。しかし銃撃戦の中はるみは死んでしまう。全て終わった北村は今泉の墓に参り、玲子を連れて東京へ戻ることになり映画は終わる。

 

たわいのないサスペンスですが、気楽に見れる娯楽映画という感じで楽しめました。