くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「塔の上のラプンツェル」

塔の上のラプンツェル

ディズニーアニメ第50作品目という記念作品。CGアニメになってからのディズニーは嫌っていたのですが昨年見た「プリンセスと魔法のキス」が素晴らしい傑作だったので、すっかりディズニーアニメを見直し、今回も期待の一本として見に行きました。

感想は、やはり素晴らしかった。なんといっても色彩感性のすばらしさに目を奪われる。シーンの一つ一つが美しい絵になるというのが今なおディズニーアニメのすばらしさの第一点だと思います。今回の映画でも、ラプンツェルが閉じこめられている塔をとらえたショット。背後に長い滝が流れていて、回りはそこだけがぽつんと空間になっている森の中の一画というイメージが最高。そして、もちろんクライマックスの「灯」がお城から舞い上がる場面のうっとりするような幻想的な構図、大胆に動くカメラワークの醍醐味、そして、ラプンツェルが町に入って人々と踊り回るシーンの見事な音楽と色彩のコラボレーション。どこをとってもこれぞディズニーとうならせるシーンばかりでした。

もう一つ、ディズニーアニメの卓越したところはそのストーリーテリングのすばらしさです。今回の作品はグリム童話を原作にしていますが、そのやや神秘的なお話をわくわくするほどのアドベンチャーストーリーに組み直すと共に、大人も子供も楽しめる冒険ドラマと恋、そしておとぎ話の要素をふんだんに盛り込んで飽きさせないテンポで語っていくリズムは見事なものです。

例によって脇に登場する愛くるしい動物たち。ラプンツェルに寄り添うカメレオン、フリンを執拗に追い回す人間くさい馬、などなどディズニーワールドも炸裂、終始、笑みが途絶えることなく次々と展開する物語に引き込まれてしまいます。

クライマックスの灯が舞い上がるシーンに続いてラプンツェルがことの真相を思い出し、塔から飛び出してフリンを助けに行く下りからのスピード感満天のシーン展開、そして、追いつめられたラプンツェルとフリン、そこで髪の毛を切り落としすべての魔法からラプンツェルを解放してやるフリンの思いやり、思わず大人も子供も涙を誘うシーンでした。

当然、それに続くとってつけたようなハッピーエンドはもちろんディズニーならではのファンタジーなので、当然許してしかるべきであり、めでたしめでたしと終わるエンディングのは大人も子供に返り、子供は将来に夢を抱くという素晴らしいラストシーンとして大団円として閉じられます。

日本のアニメはもちろん世界一だと思いますが、一方でディズニーアニメも今だに世界一ではないかと思います。どちらもそれぞれにアニメ芸術としての頂点に枝分かれしたのではないかとうならせる作品でした。