くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「阪急電車 片道15分の奇跡」

阪急電車

それほど期待もしていなかったのですが、知り合いがエキストラ出演していることもあって見に行きました。
際だって芸のある演出もなく、さらりさらりと繰り返される薄っぺらな映画かとおもっていましたが、なんの、まぁまぁそれなりに楽しめる奥の深い作品だったと思います。

有川浩さんの原作は短編集なので、脚本にして一本の映画にすると一つ一つのエピソードを羅列するだけになりがちなのですが、その当たりは岡田恵和さんの脚本がしっかりしていて、一つ一つのエピソードをさりげなく紹介してからもう一段奥へ入り込んでいくという繰り返しの手法で深みのあるドラマ性を生み出しているのは良かったと思います。

物語は簡単、宝塚から西宮北口までを往復する阪急今津線を舞台にそこに乗り込む人々のエピソードをさりげない人間同士のふれあいに結びつけて描いていきます。
なんといっても、キャストが豪華なのです。この手のローカルシネマにこれだけのキャストを集めたというのがまず注目。戸田恵里香、谷村美月中谷美紀と当代の演技は若手が集結している上に、宮本信子までも登場する。これだけ揃ってるのだから、それほどひどいものにはなっていない。と思うのは当然で、それぞれのエピソードをほんのわずかの台詞のやりとりで語る物語はどれもこれも見事に心に響いてくる。

特に谷村美月がすばらしい。見事な間で彼女のエピソードを一本の物語にして見せたのには驚いてしまいました。もちろん、他の人たちのエピソードもそれなりに胸に残るところも多々あったのですが谷村美月さんのエピソードが私は一番ほのぼのしてしまいました。

全体にたわいのない映画でしたが、見終わって、まんざらでもなかったなと思える一本だったと思います