映画自体は本当に素っ気ない平凡な作品である。悪く言えばテレビのスペシャル番組程度のレベルの作品で取り立てるところはどこにもない。
というのは、当初から予想はついていたのだが期待を裏切らなかった。
ただ、この映画はちょっと期待している谷村美月が出ているために見に行ったのです。だから彼女の好演が見れればそれで目標は達せられたと言うべきで、それ以上に何も望みませんでした。
物語は新潟の片貝町に毎年行われる花火祭りを舞台に、実話にも続いて、白血病でこの街に引っ越してきた須藤華とその兄太郎、そして両親の物語です。
6ヶ月の入院生活から退院してきた華の姿から映画が始まります。しかし、6ヶ月の間に兄太郎は引きこもりになっている。
本来の天真爛漫な明るさで兄太郎に接し、次第に引きこもりから脱出させる華。新聞配達のバイトもはじめ、地元の花火を揚げる青年部の集まりにも参加し、このまま平穏な生活になるかと思われた矢先、華の白血病は再発。ふたたび入院します。
お兄ちゃんがあげる花火を見るのが楽しみ等華に太郎は必死で青年部で花火打ち上げの活動に専念しますが、年も暮れる年末、とうとう華は息を引き取ってしまう。彼女が生前に望んでいた、真っ赤な花火を揚げたいという想いを継ぐために、自らバイトを増やし、個人的に花火を揚げるために花火職人の工場で花火を作る。そして大会の夜、真っ赤にあがる太郎の花火。青年部の花火も華麗に上がり、悲しみを乗り越えていく太郎の姿で映画は終わる。
脚本が弱いのか、なんでわざわざそんなエピソードを入れるの?というのが随所に見られ、主演の高良健吾の演技も今ひとつ生きていない。ただひたすら谷村美月の存在感に頼ったストールイー展開のために、彼女が死んでからの終盤三分の一が何とも間延びしておもしろくない。両親が土下座して青年部への復帰を頼むショットもとってつけたようにしかみえない。
とまぁ、映画としては下の作品ですが、谷村美月の力量は再度確認できたし、それだけで十分な一本でした