くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「奇厳城の冒険」「国際秘密警察鍵の鍵」「国際秘密警察絶体

奇厳城の冒険

「奇厳城の冒険」
本当にばかばかしいほどにたわいのない、子供向け娯楽活劇という一本。楽しいといえばそれまでですが、物語も荒唐無稽に何の脈絡もなく展開するし、魔法使いはでてくるし、リアリティのないセットや王様がでてきて、いったいどこの国?というおもしろさを楽しんでしまう。

といっっても、映画黄金時代で、名だたる名作にでた名優たちがところ狭しと暴れ回るのだから今となっては贅沢そのもの。それだけを楽しめるだけでも私などは十分。

天竺へいって仏舎利を手に入れるべく旅をする坊さん円済とやたら強い大角という男の冒険活劇ですが、物語は「走れ目ロス」の焼き直しをクライマックスに、シルクロードを舞台に無国籍な活劇が展開。

完全な非リアリティの世界にただもうあきれるほどにお気楽な娯楽映画でした。でも楽しかった。

「国際秘密警察 鍵の鍵」
和製007映画としてシリーズ化された一本。国際秘密警察の北見を主人公に007シリーズよろしく美女あり、アクションありの展開ですが、実にストーリーが安っぽい。名作といわれる「陸軍中野学校」シリーズとは雲泥の差ではあるけれども、つっこみどころ満載の気楽な娯楽映画として楽しむには十分な映画でした。

とにかく、訳の分からないアジアの国が絡んでくると何のことかと思う導入部。でもそんなことは全く関係なくて、結局やくざ組織の金庫に眠る1000万ドルの値打ちのある何かを盗み出すために、わざわざ金庫やぶりのプロを脱獄させるという導入部。

ウルトラマン黒部進が訳の分からない中国人ギャングのボスで、北見と一緒に敵方に潜入し、金庫やぶりのプロに金庫をあけさせるが、結局、ドリルで穴をあけて、この程度なら誰でもいいような展開は笑う。というよりその前に船の検疫と偽って乗船するが本物の青酸ガスをばらまかれて、それなら最初から偽物を持って乗り込めよとつっこんでしまう下りも実にたわいない。

結局、訳の分からないクライマックスの銃撃戦でめでたしめでたしのエンディングで、冒頭の意味不明のアジアの国はどういうふうに利益を上げたのかもわからない。最初の設定がどうでも良くなるラストシーンはとにかくあきれるほどに楽しい。まぁ、これで良かったのですね当時はと無理矢理納得してみ終わるという一本でした。笑

「国際秘密警察 絶体絶命」
東宝お得意の新兵器の数々がとにかくたのしいし、つっこみどころがこれまたてんこ盛り状態で全く飽きない。その上、「第三の男」よろしく壁に映る影のショットなどどこかでみた名作映画のシーンまでちらほらと画面を飾ってくれるのが実に楽しい一本でした。

例によって、アジアの訳の分からない国の首相が日本へやってくる。その首相が命をねらわれているらしく、その集団はZZZ団ってまるで特撮ヒーロー物の世界である。しかも空気に触れると3000倍に増える妙な薬品で窒息死させるのがベストだという暗殺集団のボスのたくらみも笑えるし、北見の相棒の名前がジョン・カーターって「火星のプリンセス」か!。

探知機を取り付けた物の10キロ四方をチェックするレーダーみたいなので追っかけていくがまんまと敵に利用されて罠にはまるし、箱根ではボートの仕掛けた爆弾をおもちゃのラジコンボートで首相の乗るボートにぶつけていくとか、しかもジョンの軍人時代の部下が片腕で、その彼が北見に投げるワイヤーの新兵器も意味不明で、とにかくあれよあれよとつっこんでしまう。

でも懐かしいのがクライマックス。奈良ドリームランドに首相が遊びに行くという何ともほほえましい展開はもう子供映画の世界である。

懐かしい京都河原町の俯瞰ショットや桃山城、円月島など関西の名所もふんだんで、最後がドリームランドとはまさに当時の時代背景が浮き彫りにされている舞台にはもう涙がでてきそうでした。

ゴジラシーリーズなどで、大人の映画もいつの間にかお子さま向けになっていく東宝ならではのシリーズ物という風情のとってもノスタルジックな一本だった気がします。

とはいえ、本日見た三本はすべて退色していてほとんどピンク色なのが実に残念でした。