鈴木清順監督がその清順美学を開花させたといわれる一本。モノクロのタイトルバックに真っ赤な椿が添えられて映画が始まる。
ある心中事件のショット、その死んだ男が警官だったという導入部から主人公ジョーが町で大暴れするカラーシーンへのカットバックなどこれが清順ならではの美学である。
やくざの親分と交渉するジョーの背後に映画のスクリーンが映り、日本映画が映し出されていたり、そこかしこにこだわりの画面がちりばめられている。
しかも物語は実にシンプルだがおもしろい。
親友の刑事の死(冒頭で死んだ男)の原因に疑いを持った主人公錠がその真相を探るためやくざの野本組へ潜入。対する竹下組との抗争を画策する一方で親友の死の謎を探っていくスリリングでミステリアスなおもしろさは一級品。
しかもいたるところに鈴木清順のこだわりの映像やお遊びが登場して見ていて本当に映画の醍醐味を堪能することができます。
謎の女、6番目の愛人とは誰か。それは最後の最後ですべての真相が明らかになってエンディング。地面に落ちた真っ赤な椿のショットで{終}の文字がでる。もう、続々するおもしろさですね。これが映画なのですよ。テレビでは決して味わえない感動。いやぁ、映画っていいね。そう思ってしまう瞬間でした。