「大怪獣ガメラ」
大映が東宝の「ゴジラ」に対抗して製作した怪獣映画だが、1965年だから「ゴジラ」よりかなりあとになる。
迎撃された国籍不明機が北極に墜落。搭載していた核ミサイルが爆発して氷の下からアトランティス大陸に生息していた火食い亀のガメラが姿を現す。
火を求めて世界から東京へ。万策つきた人類は伊豆大島に科学の粋を結集したZプランによって退治することを計画する。なんと、この計画、結局ガメラをカプセルに閉じこめて火星にとばしてしまってエンディング。当初はどんな計画やったの?とつっこんでしまう。
「ゴジラ」よりも脚本の稚拙さ、荒さが目立つけれども、まだまだ怪獣映画が子供向きと思われていた時代にしてはしっかりと作られている。
特撮シーンのおもしろさ、ガメラの造形など今でも十分に楽しめるのだから大したものだと思う。楽しい一本でした。
「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」
とってもしゃれた大人のラブストーリーという感じのいい映画でした。
映画が始まると次々と一線を退いた老人たちの名前と現代の状況とこれからインドの長期滞在ホテルへ向かうきっかけが描かれる。名前とシーンが繰り返されるけれどもとても覚えきれないなと思っていたらさりげなくメインタイトル。
今回の登場人物が空港で一緒になってそのままインドにあるマリーゴールド・ホテルへ向かう。ところがついてみたらパンフレットとは雲泥の差の今にもつぶれそうなホテル。しかしなけなしのお金をはたいてきた彼らはとりあえず滞在することにして物語は本編へ。
最初の9日間で徐々に慣れ始め、その中で登場人物たちがそれぞれに淡い恋を経験し始める。そこにホテルの管理人で支配人の若者の恋物語も挟まれる。
時折、インド社会の階級制度によるしがらみや貧富の差を示すショットなども交えられ、西欧社会とは違ったインドの姿もちゃんと描写している展開は本当に心地よい。
それぞれがそれぞれにハッピーエンドになって幕を閉じるのは予想できる展開でしたが、インドのビートの利いた音楽を効果音に、人口密度の高さから生み出される雑踏の描写、エキゾチックなはずなのに現代的な企業の存在、さらには近年のインドの若者たちの意識などもしっかりと描かれている。
非常に丁寧な描写を背景にした老人たちのラブストーリーなのですが、日本映画と違って本当に西洋の老人たちはいつまでも前向きで明るい。「失敗とは、なにもしないこと」というせりふを繰り返したり常に前向きにいきる生き生きした姿に思わず勇気をもらってしまえる、そんな秀作でした。名優ジュディ・ディンチとマギー・スミスの映画でしたね。