くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハンガー・ゲーム2」「麦子さんと」

ハンガー・ゲーム2

ハンガー・ゲーム2」
前作がそれほどおもしろかったという印象はにのですが、なぜか続編が作られ、さらに次へ進む中間的な内容で、唐突に終わる。しかも、2時間以上あるという長さ。評判もよくないので悩んだものの、ジェニファー・ローレンスのファンでもあるので見に行った。
監督は、前作のゲイリー・ロスからフランシス・ローレンスに変更。

で、今回の方が、私は前作より単純におもしろかった。導入部分は、前作をかなり忘れているので、追いつくまで、ややしんどかったが、さりげなく、これまでの内容を挟み込んだ上でのストーリー展開は、それなりに混乱をさせずに、後半へと進んでいく。

そして、後半三分の一くらいのゲームのシーンは、確かに、今回はおもしろい。もうちょっと、ほかのゲーマーたちの、個性的な戦いぶりを巧妙に見せる演出があっても良かったと思うが、あれよあれよと単純にバトルシーンが続いて、実は、今回、新たにゲームクリエイターとなった、フィリップ・シーモア・ホフマン扮するプルタークが、いかにもくせ者として登場、案の定、ラストシーンで、革命を指揮し独裁者スノー率いる国家パネム転覆を謀る計画へとなだれ込んでいって暗転する。

監督の変更で、やや演出のリズムが変わったのが、今回のおもしろさの原因であろうとも思える。

ベストセラーの原作があるので、展開はあらかじめ決められていたのだから、今回を中盤にして続編へ進むのは、なんの不自然もないのですが、ここまで引っ張るほどの大作かというと疑問ですね。オスカーを受賞したジェニファー・ローレンス主演という箔が、作品を支えているという感じです。

とはいっても、後半を楽しみにしたくなる中盤としては十分のその役割を果たしていると思います。おもしろかったです。


「麦子さんと」
これはとってもいい映画でした。まず堀北真希が抜群にかわいい。彼女、どんどんかわいくなっていく気がします。喪服姿なんかもありますが、思わずハグしてしまいたくなるほどかわゆいのです。監督は吉田恵輔です。

さて、映画は主人公麦子がお骨を持って駅の改札をでてくるところから始まる。田舎の駅で、駅前のタクシーも一台きり。駅員さんに「どこかでみたことがある」といわれ、タクシーの運転手まなぶさんに「誰かに似ている」と何度も振り返られ、駐在さんとぶつかるというコミカルなファーストシーンからこの映画の世界へはいっていきます。

さて、その似ている女性というのが、この主人公麦子の母親彩子で、この町のアイドルのような存在。村の人々がみんな彼女にあこがれていたという。

そんな彩子の娘、麦子は、アニメ大好きで、アパートで兄と二人暮らし。ところがそこへ、母親の彩子がやってくるというフラッシュバックの物語が展開する。何かにつけ、自分本位の母親に反発する麦子。しかし、彼女の体調がおかしいと気がつく。

程なくして、彩子は死んでしまい、そのお骨を持って生まれ故郷へとやってくる。ここからがこの作品の中心的なストーリーだが、ほんのわずかに描写される、麦子と暮らした彩子の場面の様々な小さなエピソードが、後半に生かされてくるからすばらしい。

彩子の故郷では、誰もが麦子にとって、母に見え、父に見えたりする。その麦子の視線が徐々に、母への思いを膨らませ、思い出していく展開がなんともあったかいのです。埋葬許可書を忘れたために、数日この村で泊まらなければならなくなり、そこで、わずかな人々との交流の中で、麦子の知らなかった彩子伸す型が見えてくるというのが本編です。

彩子がアパートにきたときに、毎朝うるさく鳴る目覚まし時計を投げて壊した麦子、自分が目指す声優学校のパンフレットを勝手に開けて悪態をつく麦子、様々なシーンが、故郷でのさりげないお話の中にじわじわと持ち上げられてくる。

実は、、母親に会いたかった麦子、悪態をつきながらも、葬儀の後、一人泣いている兄、酔っぱらって、、村の役場のミチルたちに思わず、子供に会いに行けと絡む麦子、本当にさりげない演出なのですが、なぜか心の中にゆっくりとしみこんでくる暖かい感情がとっても素敵。

歌手にあこがれて上京する過去の彩子の場面など、若き日の姿は、ホームムービーのような手持ちカメラの映像でつながれ、現在のシャープな映像との対比が実に効果的で、堀北真希一人二役を演じているとはいえ、とってもみずみずしく見えるのです。

麦子が壊した目覚ましは、実は彩子が上京するときに親が持たせてくれたものだったり、東京へ帰る麦子が兄に電話している兄の声で、彩子が麦子に声優学校の入学金の足しにしてほしいという通帳があったりというシーンに、よくある展開とはいえ、「赤いスイートピー」がかぶり、じわっときてしまいます。

何気ない日常風景の中に描く、母子の何とも心温まる物語で、堀北真希ちゃんのかわいさも相まって、とってもいい映画でした。