くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「トム・アット・ザ・ファーム」「シャンティ デイズ 36

kurawan2014-10-30

「トム・アット・ザ・ファーム」
サイコサスペンスといえる一本で、全編不気味さと緊張感が漂う映画だった。監督はグザヴィエ・ドランである。

友人で恋人だったギヨームの葬儀にでるべく、田園の中を車をとばしている主人公トムのシーンから映画が始まる。バックに流れる「シェルぶーるの雨傘」のテーマが不可思議なムードを生み出す。

広大に広がる農村地帯は、それだけで、非常に隔絶された世界を想像させる。

着いた先で、母親のアガットに会い、兄のフランシスに出会う。そして、フランシスから、弟ギヨームはゲイではなかったことと、別に恋人のサラという女性がいることにしてほしいと頼まれる。

アガットを悲しませたくないということから、トムは承知するが、何かにつけて、フランシスはトムに横暴をふるう。トムの車もフランシスに壊され、戻れなくなるトム。しかし、なぜかトムはあがなわず、縛られるようにここで生活をともにする。そこへ、サラもやってくる。

ギヨームへの罪悪感から、言うなりになるトムだが、どこか異常に見えるフランシスのキャラクターがとにかく不気味である。しかも、サラも、ものにしてしまうに当たり、トムは脱出することを考える。

ある日、戻ってみたら、だれもいないので、荷物をまとめて飛び出すが、すぐに追いかけてくるフランシス。うまくまいて、フランシスの車で走り去り、途中、ガソリンを入れるが、そこに、カフェで聞いたフランシスに口を引き裂かれた男がさりげないいたりする。最後にガソリンスタンドのシーンなんて、まさに「シェルブールの雨傘」である。

町に戻ったトムのショットでエンディングだが、全体が、不可思議なムードに包まれ、しかも、何度も挿入される広々と広がる田園風景が、いっそうの隔離状態を描写、さらに、普通すぎる母親の存在も、対照的なフランシスのキャラクターを引き立たせる。

映像でぐいぐい見せる緊張感が絶品の一本で、ちょっと、説明不足な場面もないわけではないかが、なかなかの映画でした。


「シャンティデイズ 365日、幸せな日々」
今時こんなありきたりで陳腐な物語があるのかという映画だった。とはいえ、門脇麦を見に行っただけだから、特に不満はない。

映画は東北の田舎から東京にでてきた、門脇麦扮する海空のシーンに始まる。

例によって、東京でヨガで自立し、モデルもしているKUMIにあこがれて、ヨガを始め、だまされて一文無しになったのでKUMIの家に居候する海空。

脇に、気の良いオカマが登場して、本当に普通のお話が展開。KUMIが挫折し、それを励ましながら、前を向いて生きていこうとエンディング。

何の変哲もなさすぎる映画で、特に中盤から主演は海空なのかKUMIなのかぶれてくるあたりも、あまりにも弱いストーリー構成である。

前半は門脇麦の個性が、うざいほどに鼻についたのが気にかかるが、中盤から普通の映画になってくると、ちょうどよいスパイスになってラストシーンへ流れた。とにかく凡作だった。