くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アウトロー(’12)」「マチェーテ・キルズ」

アウトロー

アウトロー
アイスランドを舞台に、麻薬犯罪組織の攻防を描く、いわゆるフィルムノワールの世界。とにかく、リズミカルな音楽をバックに、ハイテンポな編集で、小気味良く展開する映像は、今時のはやりとはいえ、心地よく物語が展開する。ただ、全体のトーンが実に暗くて陰湿で、浮かび上がれないほどの息苦しさがあるのは何とも苦しい限り。でも、なかなか作り込まれた丁寧な脚本で、たくさんの登場人物がいるにも関わらず混乱しないし、それぞれのキャラクターが明確に区分けされた配役と演出で、分かりやすく作られている。監督はオスカー・ソー・アクセルソン、制作が「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフンである。

映画は、この作品に登場する人物の幼い頃の写真を、細かいカットとテンポ良い音楽で見せた後、1999年、5日も寝不足でもうろうとしている主人公ステビのカットから始まる。

そして二年前にさかのぼり、喧嘩で留置場にいるステビ、とりあえず釈放されたが起訴されそうになり、たまたま警察署の出口で幼なじみのトティと出会う。そして、彼に相談すると敏腕弁護士を紹介する代わりに、ある仕事をしてくれという。

頼まれたのは、ロディという男の空き家に忍び込んで、隠してある麻薬を見つけること。ところが、見つけたとたん、一人の男が踏み込んできて、思わず半殺しにしてしまったステビは、その男のボスファラオから追われる羽目になる。しかし、ファラオと対するトティと一緒に麻薬シンジゲートの仕事を始める。さらに、トティのボスにブルーノという冷酷な男が登場し、仕事はどんどんうまく進んでいくが、ある日、ステビは捜査官に見つかる。

よくある展開は、そうなのだが、カットとカットの編集が本当に、見事で、この手のアクション映画ならではのおもしろさをどんどんエスカレートしていく。さらに、クライマックス、パーティで集まった仲間たちのところに警官たちが踏み込み、たまたま、外にいて戻ってきたステビはそれをみて、助かるものの、屋上でブルーノがトティを殺すところを目撃。前日にブルーノに頼まれていた金を母親に送り保管してもらい、ハンガリーへ高飛び、五年後に戻って、金を確かめているところへ、ブルーノが現れるが、かつて、トティの教え通り、思った通りに行動しろという進言通り、ブルーノを殺して、車で去っていってエンディング。

ストレートにおもしろい出来映えになっているので、作品の質はなかなかのレベルである。しかし、最初にも書いたが、いかにも全体のトーンが暗い。アイスランドという、ほとんど白夜に近い環境がそうさせるのかもしれないが、その暗さ故に、出口が見えない息苦しさがあることも確かである。でも、必見の一本だったと思います。


マチェーテ・キルズ」
前作「マチェーテ」は見ていないのですが、ロバート・ロドリゲス監督作品故に見に行きました。

B級アクション映画炸裂の、まさしくロドリゲスの世界。映画が始まると、いきなり、古いフィルムのような画質で、宇宙に飛び出したマチェーテが、スターウォーズバリにアクションを繰り広げる。なんだなんだと、思っていると、ここから本編となって、訳の分からない導入部から、すっかりはまってしまう。

訳の分からない砂漠で、訳の分からない敵と戦うマチェーテと恋人。そして、戦いの末に、捕まるが、大統領の命令で、ホワイトハウスへ。そして、メキシコの麻薬王マッドマンを倒すように等の命令。あれよあれよと、話が進むが、タイトルバックの、軽快なB級アクションならではのタッチのイラストが最高に盛り上がる。

やたら強い不死身のマチェーテは、メキシコに潜入し、マッドマンを倒そうとするが、なんと、心臓に爆弾が仕掛けられていて、解除できるのはアメリカの武器商人ヴォズしかいないとなって、引き連れてアメリカへ。

いったい、なんなんだと、なんでもありの展開の中に、派手なアクションと、エログロ満載の殺戮シーン。ここまでいくと、爽快なくらいに、首は飛ぶし、体はまっぷたつ、血は吹き出すし、とまぁ、これこそB級。

そして、マッドマンの心臓だけを手に入れたヴォズは、宇宙へ脱出すべくロケットを準備していて、マッドマンの心臓を破壊して、ミサイル発射。それにまたがったマチェーテが適当に青い線を切ると、ミサイルは川に落ちて、そこへ大統領がきて、宇宙へいってヴォズを倒せと命令。

もう、開いた口がふさがらない展開。いったいどこまでいくの?と思っていたら、宇宙ロケットに乗ってマチェーテが宇宙空間へ。そこで、次回の映画のCMになって、エンディング。

もう、コメントしようがないほどのすっ飛んだ映画で、それでも、とにかく、飽きないし、たのしいし、キャストも豪華絢爛。考えてみると007のシリーズを全部詰め込んだようで、SF映画のエッセンスも混ぜ込んで、なにがなんだかわからない。そんなある意味ばかばかしい映画ですが、これがエンターテインメントだと、スクリーンの後ろで笑っているロバート・ロドリゲス監督が見えるようです。