すでに20年以上前になる、ポール・ヴァホーヴェン監督の第一作。さすがに、あれだけの知名度の作品のリメイクになるとプレッシャーがあり、何とか、まねしないようにという思いもあるだろう。今回の作品、とにかく、アクションシーンの連続で飽きることはない。もちろん、撮影テクノロジーも進歩しているので、やりたい放題というのもある。しかし、演出家が変わるとこうもレベルが変わるかという典型的な作品になった。監督はジョゼ・パチーリャという人である。
確かに、本筋は変えていないので、流れはまったく同じであるが、ただ、ドンパチしてるだけで、中身がぺらぺらのB級アクションである。主人公マーフィーの人間的な葛藤などはまったく描写しない。これならロボコップでなくてもいいのだ。普通のサイボーグ警官、ロボットオンリーの警官の話でもいいような作り方。しかもアクションシーンにこれといったオリジナリティもない。といって、ど迫力でもない普通のアクションである。
と、いろいろいっても最大の難点が、ロボコップがかっこよくないのだ。その容姿を言っているのではない。ヒーローとしての演出場面がひとつもない。オリジナル版は、一時はヒーローとしてかっこよく登場する。そしてその後、過去に葛藤し、ストーリーがどんどん膨らんで行くのである。ぎこちないロボット動作はオリジナル版の独創性が生んだものだが、それを踏襲しないようにしながらも、やはりロボコップといえばあの独特の動きだ、という中途半端なイメージで演出したために、中途半端に仕上がったという感じです。
そうこういっても、素直に娯楽映画として楽しめば、十分に見ることができる。それで良しとしよう。そういう映画なのです。