くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「父のこころ」

父のこころ

仲里依沙版「時をかける少女」の谷口正晃監督作品ということで見に出かけた。

全編、地面を這うような演技が続くために、物語が、最後まで浮き上がってこない。しかしながら、谷口監督の必死の演出で、終盤、最後の最後に、若干、浮上したような気がしたのは救いであった。

映画は、京都の元・立誠小学校に、9年前に家を出た賢一が戻ってくるところから始まる。一方、不動産の改装の営業をする宏志のところに、父親の賢一を見かけたという連絡が入り、父親と再会する宏志。彼は和歌山でお世話になった女性の遺骨を、実家に持ってきたのだ。一方宏志の妹の恵美が結婚が決まり、戻ってきた父親に結納に出席してほしいと頼む。

結納は滞りなく終わり、このまま家族が再びまとまるかと思われたが、その日、賢一は、遺骨は自分が供養すると和歌山に帰ることを告げる。

結納に夜、家族の団らんのシーンで、沈みきっていたストーリーが、一気に浮き上がるが、全体に演技が沈んでいるために、谷口監督の意図が浸透しきらない。それでもほんのわずか、浮上したラストで、帰っていく賢一を見送る宏志のシーンのエンディングは、結局、家族の再生はならなかったものの一つの結論に導かれた気がする。

どちらかというと、ローカル映画であるが、谷口監督の演出力に救われた一本のような気がする映画でした。