くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ONODA一万夜を越えて」

「ONODA一万夜を越えて」

三時間近くあるのに退屈もしないし、普通に引き込まれて普通にラストは感動してしまいました。余計な細工をせずに物語を組み立てたのと映像の演出をしたのが良かったのでしょうか。放出し物とまでは行かないまでも見て良かった映画ですね。監督はアルチュール・アラリ

 

一人の青年がフィリピンルバング島へ向かっている場面から映画は始まる。現地で日本の国旗を吊るして日本の歌を流す。カットが変わると一人の日本兵小野田が一人、かつての戦友のうめられた場所に花をたむけている。ふと耳を澄ますと日本の歌が聞こえてくる。時は1973年。そして時は1944年に遡る。

 

和歌山で飲み屋で暴れている若き日の小野田のところに谷口という男がやってくる。彼は小野田に、陸軍中野学校へ誘う。そして、陸軍中の学校で小野田は、決して死なずに行動することを鉄則として教えられ、戦地へ赴くことになる。

 

小野田は戦地へ赴任したものの、戦況は厳しく、兵という兵もほとんどいない状況で、部隊は崩壊寸前だった。やがて数人になった小野田の部隊も次第に一人減り二人減り四人だけになる。時はすでに終戦を迎えていたが彼らには全く情報は届かなかった。ルバング島の地理を独自に調べ、友軍の到着までひたすら生き延びる日々が続く。

 

そして気がついたら小野田のそばには一人しか残っていなかった。彼らの前に、すでに戦争は終わり投降するようにという拡声器からの声なども届くが小野田らはそれは本国からのなんらかの暗号だと解読したり、手に入ったラジオから流れてくるニュースの中に自分たちへの連絡や情報はないかと探る日々が続く。時は過ぎ、アメリカの月面着陸のニュースなども流れてきた。

 

まもなくして、たった一人いた小野田の戦友も現地の男に殺され、とうとう小野田は一人ぼっちになった。そんな時、日本の歌が流れてきた。流していたのは、世界中を旅して周り小野田の生存を信じていた鈴木という若者だった。小野田は彼の前に姿を現し、しばらく彼の話を聞く。そして別れ際に、上官である谷口少佐を連れてきてくれたら日本へ帰ると答える。

 

一週間後、鈴木は谷口少佐の居場所を見つけて再び小野田に前に現れる。小野田は谷口から、終戦時の大本営の命令書を読み上げてもらい、ようやく戦争が終わったと理解し、帰還のヘリに乗り込む。小野田はヘリから、これまで過ごしたルバング島を見下ろし映画は終わっていく。

 

素直にいい映画でした。普通といえばそれまでですが、隅々まで手を抜かずに作られた真摯さでラストは胸が熱くなってしまいました。いい映画を見たという感じです。