くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アタック・オブ・ザ・50フィートチアリーダー」「コーヒー

アタックオブザ50フィートチアリーダー

「アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー
ロジャー・コーマン製作作品と聞くだけで、中身が見える、いや、題名を聞いただけで、中身が見える。そんなばかばかしい映画を見る楽しみも、映画ファンの醍醐味なのです。

主人公はさえない女子大生キャシー。母親が元チアリーダーで、大人気だったという劣等感で、大学のチアガールの応募試験を受けているシーンに始まる。

彼女の所属学部は生科学専門で、そこで、なんと不細工なネズミが二枚目(?)のネズミに変身させる実験に成功したリニューなる薬を開発。当然、キャシーは、忍び込んでその薬を注射してみると、なんと翌朝には絶世の美女に。ところが、成長ホルモンが異常になり、どんどん大きくなり、末は50フィート(15メートル)にまでなる。

もう、ばかばかしいのだが、そこは主人公たちがチアガールだからお色気も巨大化。大迫力のオッパイに、セクシーボディが画面いっぱいに広がる。しかも、キャシーを目の敵にするチアリーダーのブリタニーも負けじと、リニューを手に入れにいって、誤って二本も両方のオッパイに刺さってしまい、巨大化。

アメフトの競技場で、キャシーとブリタニーの一騎打ちが始まる。

もう、笑わなければやってられない展開。しかも、戦いのさなかにトップレスになるというサービス満点のバトルシーンで、巨大なオッパイが暴れまくる。

結局、解毒剤を撃たれてブリタニーは普通以上に小さくなり、キャシーは元通りになり、ハッピーエンド。って、そんなに簡単に解毒剤ができるんかい!とつっこみも入って、軽いノリとセクシーシーン満載に90分あまりの楽しい映画が終わる。

ブレードランナー」のショーン・ヤングがキャシーの母親役だったり、大学教授にジョン・ランディス監督がでていたり、学部長にロジャー・コーマンその人が出たりと、サービス満点。おばかな映画ですが、これが本当の娯楽だね、と自己満足するのです。


「コーヒーをめぐる冒険」
この映画は、相当良かった。というか、かなりの秀作だった。監督はドイツのヤン・オーレ・ゲルスターという新鋭である。

一つ一つのシーンをシャープに切り取った演出で描いていく。そこによけいな描写シーンを挿入せず、手際よく次のシーン、次の展開と見せていく手腕が見事。しかも、モノクロームでとらえる何気ないベルリンの町並みの中に、様々な歴史の遺物を映していく映像も美しい。

作品全体に、町の空気が感じられるし、一瞬の時間が見えてくる。その雰囲気が心地よいほどにモダンなのです。

映画は、主人公ニコが、恋人との一夜のあとの朝に始まります。コーヒーを勧められるも、急いでいるニコは、飲む暇もなく飛び出す。ところが、免許証の更新の面接で、交付されず、その帰りのコーヒーショップでは、お金が足りずコーヒーを飲めない。ATMでお金をおろそうとするが、カードが吸い込まれ、なけなしのコインも浮浪者にあげてしまう。

仕方なく、父親に電話するが不在。友達のマッツェとでかけるも、いった先で、幼なじみの、かつていじめた女の子に出会い、舞台のチケットをもらい、と、行く先々でほんの些細な不運からコーヒーは飲めないし、面倒な人々と出会ってしまう。

二階に住むおやじには、妻との不仲を愚痴られたりもする。

そんな、次々とニコが出会う人々とのエピソードは、小気味良いほどのエッセンスのみの映像で切り取られていく展開が、テンポよく、背後の音楽、トランペット、クラシックの音色がとってもリズム良いムードを生み出していくのです。

父親にあったものの、父親に内緒で、二年前に大学を中退したことを指摘され、援助を断られ、わずかの金をもらう。そして一日の終わり、立ち寄ったバーで、ナチス政権下を生きた老人に絡まれ、なんとかいなした直後、老人は路上に倒れ、救急車で病院へ。翌朝、老人の死を知る。

そして、やっと、コーヒーにありついたニコのカットでエンディング。

ほんの一日の出来事なのだが、ささいな出来事がドラマティックに描かれていく。

よけいな映像を極力廃した脚本のうまさと、演出のシャープさに引き込まれる一本で、90分あまりに見事にまとめた作品として、かなりの秀作でした。