くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「怪しい彼女」「幕末高校生」

kurawan2014-07-31

「怪しい彼女」
韓国映画は基本的に、一部の傑作をのぞいて嫌いである。しかし、しかし、悔しいことだが、この映画はとっても楽しかったし、最後は胸が熱くなってしまいました。

友達の誰もが、おもしろいからというので、重い腰を上げて見に行ったのですが、これは久しぶりに韓国映画のおもしろさを実感した気がします。

最初の10分間を我慢すれば、どんどんテンポがよくなってきて、物語に乗ってきてしまいます。特に、主人公マルスンが歌に目覚め、中盤から後半へ、孫のジハとグループを組んで、バンドの物語が中心になっていくと、さらにそのリズムが良くなってくる。

韓国映画によくある、食べ物のシーンの汚いカットが少なかったこと、やたら罵倒する機関銃のような韓国言葉が、小気味よくリズム感あふれるテンポで、物語を語っていったことが、この作品の成功の原因かもしれません。
監督は「トガニ 幼き瞳の告発」のファン・ドンヒョク。あの作品はそれほどすごいとは思いませんでしたが、今回は、なかなかストーリーテリングのセンスを感じさせる気がしました。

映画は、口の悪い舅のマルスンが、自慢の息子の嫁との諍い、確執という、どこの国にもある家庭の物語から始まる。

繰り出される展開はまさにかんこくえいがそのものですが、ある夜、町で見かけた写真屋さんに入ったマルスンは、でてきたら50歳近くも若返っていた。いかにもファンタジックな導入部がなかなかいい。

そして、唯一の仲良し孫のジハのバンドに加わり、さらに、音楽プロデューサーと恋に落ち、年をとったマルスンを慕う老人にも真実を話しと、どんどん膨らんでいく展開が小気味良いほどにテンポが良い。さらに、かつての恋敵の老婦人が、突然の死、そしてクライマックスのジハたちのバンドのテレビ初出演の日に、ジハが交通事故になる。実は、血がぬかっると老人に戻るということを、海水浴に行ったときに知ったマルスン、しかし、孫のために、再び老人になることを決意し、真相を知る息子にも、微笑んで、手術室へ、最後に音楽プロデューーサーに微笑んで消える切ないシーンも良い。

老人に戻ったマルスンだが、かつて音楽プロデューサーにもらった髪飾りをつけている。一方マルスンを恋する老人は、ある日、あの不思議な写真館を見つけ、今度は彼が若返り、マルスンをバイクに乗せて去っていってエンディング。ここまで、念の入れようは、近年珍しいくらい、練りこまれた脚本であり、韓国映画には本当に珍しい。

ただ、そうはいっても、今回はたまたまの偶然の産物に見えなくもないのは、目を引くようなシーンが少ないこと、冒頭のシーンが、未だに残る韓国映画の稚拙さがみられること。
とはいえ、これだけあら探しをしても、楽しかったし、笑えたし、感動できたのですから、これは久々の一品です。もしかしたら、まれに見る傑作だったかもしれない。見に行ってよかったです。


「幕末高校生」
つまらないという評判が飛び交う中、石原さとみをみるためだけに見に行った一本。確かに、テレビスペシャルレベルの作品であるが、スクリーンでみればそれはそれなりにみれる一本だった。

ストーリーが雑で、別にタイムスリップとか、歴史が変わるからとかいうサスペンスなどどこ吹く風で、といって、スリリングな展開もない。それなりの俳優たちが、本業の片手間に出演した程度の存在感なのだが、さすがに、それでも、プロだねと思わせるまとまりがあるのはさすが。

映画は、いかにも今時の高校生と担任の先生が、何の説明もなく、スマホのアプリで江戸末期にタイムスリップし、そこで勝海舟に出会い、史実を目の当たりにするというだけの話で、何の努力もなく未来に戻る。

しかし、原案が眉村卓だけあって、何となくそれなりにまとまった話なのが、まぁいいかというレベルなのである。

タイムスリップした高校生たちが、皆バラバラに過去にやってきているとかいう、ドラマ部分はしっかりしているから、雑な展開もみれるのかもしれない。

結局、これという内容もないし、ドラマも希薄な一本で、みなかったからどうというものではないが、石原さとみは演技に磨きが掛かってきた気がする。玉木宏とともにストーリーを牽引する迫力が備わったのは、評価すべきかもしれませんね。まぁ、たわいのない一本でした。