くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「悪い奴ほどよく眠る」「隠し砦の三悪人」

kurawan2014-12-03

「悪い奴ほどよく眠る」
今更いうまでもない、黒澤明監督の企業サスペンス映画の傑作である。この作品、何度も見ているが、いつも同じようなところで眠くなるのですが、今回も同様。いくら傑作でもちょっと長いのである。しかし、間延びするように思えるのはその前半のちょっとした場面で、そこを越えると一気にクライマックスまで引き込まれる。

あらためて再認識したのが、この映画のものすごさである。蒼々たる脚本家がよってたかって、この物語を作り、名声をほしいままにしていた監督が、まるで駆け出しの若手のように、挑戦的な映像と、演出を施し、どうしようもないラストシーン、まさに悪人が生き残るというエンディングを迎える。

普通なら、爽快な娯楽サスペンスで仕上げてもなんの傑作という名をはずれることはないのに、あえて、このラストシーン。まさに黒澤明が別格の巨匠であったことをあらためて再認識した。

これが世界的な巨匠たる唯一無二の存在、独創性なのであろう。頭が下がる。


隠し砦の三悪人
相当久しぶりにスクリーンで見直したのですが、これほどおもしろかったかと、再確認しました。しかも、細かいエピソードも実に計算され尽くされている。やはり、名作と呼べるだけのことはあったのだと今更ながら思い直した。

いうまでもなく「スターウォーズエピソード4」つまり、初めて公開された「スターウォーズ」の原型になった作品である。

冒頭の、戦でなにもかも失ってしまった農民上がりの男二人、ぼろぼろにはぎ取られた身なりで河原を歩いているシーンに始まる。やがて、薪の中に仕込まれた黄金を発見し、秋月の埋蔵金の運搬に加わる展開へ。しかし、隙あらば逃げてやろうという繰り返しと、追っ手から逃げていく姫たちの中心のストーリーが、絶妙にコラボエーとしてテンポを生み出す。

今回見直して、あらためて、三船敏郎が両手を離して馬上で切りつけるシーン、まるで車ならぬ馬でのチェイスシーンに圧倒されてしまった。よく考えるとこんなシーン未だに見たこと無いかも知れない。しかもスピード感がすごいのである。

次々と繰り返される見せ場の連続が、作品が二時間あまりあるにも関わらず決して単調にもならない。まさに娯楽映画とはこういうものだといわんばかりである。これこそ名作ですね。