「七人の侍」(4Kリマスター版)
打ちのめされますね。この前見たのはいつだったか忘れましたが、何度見ても、こんなオリジナルストーリーは浮かびませんし、ここまで細部まで練り込まれた構成は出来ません。唯一無二の傑作というのが残っていると思いますが、これは間違いなくトップテンに入る作品だと思います。監督は黒澤明、と今更いうまでもありませんね。
オープニングの野武士のシルエットから前半の見せ場である侍を集めるシーンまでの、まるで舞台劇を見るような登場人物の登場。
そして後半、次第に高まってくる緊張の中に挿入される若い二人の恋物語、妻をさらわれた男の悲哀、野武士に息子を殺された老婆の悲劇など、細かすぎるドラマティックなエピソードに惹かれます。
そしてもちろん七人の侍それぞれのキャラクター作りの素晴らしさとベストマッチングな配役。少々盛り込みすぎたと思えなくもないですが、ストレートな娯楽作品にするつもりがなかった黒澤明の意図が画面のあちこちに散りばめられています。
ここまで作られたら、自分が凡人であることを改めて知って、落ちこんでしまいますね。まさに映画史に残る傑作です。
「虹色デイズ」
まったくたわいのないラブストーリーで、ほんまに日本の恋愛映画はどんどん幼くなって行くなと思います。長回しや画面作りに対する意識は見えますが、こういうところに才能の有無が現れるのではないかと思います。今時の高校生のトークやノリ、ツッコミも捕らえられていますが、それは原作の味でしょう。まあ期待もしてなかったのでいいとしますか。監督は飯塚健。
四人の男子高校生がプールに飛び込んだシーンから映画が始まる。リズムに乗りそうで乗らないオープニングから、そのまま軽いタッチでテンポよく進むのかと思うが、どんどん平凡になっていく。
高校二年に始まり卒業まで、仲の良い高校生の初恋、友情などが描かれていくよくある展開だが、どれもこれも描ききれず、結局ラストシーンとなる。
役者の演技力というより、脚本の甘さ、演出の弱さという出来栄えに見えてしまいました。
少々食傷気味になってきたこの手の映画ですが、一本ぐらい、あっという掘り出し物が出てこないものかと思います。