くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜「インヒアレント・ヴ

kurawan2015-04-21

「グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜」
これはいい、とってもいい、すばらしいヒューマンドラマの秀作でした。

こういう、人間の心の絆に迫る物語はやはり、時々絶対にみないといけませんね。本当にいい映画でした。監督はフィリップ・ファラルドーです。

映画は2000年、ケニアの難民キャンプからアメリカに向かって飛行機が飛び立とうとしている。一人の黒人青年マメールが、係りの女性に声をかけられるところから映画が始まる。

そして物語は13年前に。
スーダンで兄のテオ、仲のよい弟マメール、姉のアビタル、兄弟のジェレマイアらが家族と一緒に暮らしているシーンへ。ある日、突然内戦が起こり、ヘリコプターが村の頭上に飛来してくる。さらに兵士たちが村を遅い、マメールたちの両親は殺されてしまうのです。

残ったテオたちは、年長の兄テオをチーフに、エチオピアを目指して歩き始めます。400キロ以上ある道のりをひたすら歩く兄弟たち。生きるために、テオの小便さえも飲みながら必死で進む彼らの前に、エチオピアから逃れてきた人々の行列があらわれる。すでにエチオピアも目的とできなくなり、再び方角を変えてケニアに向かう。

しかし、途中で、兵士たちに襲われ、すんでのテオの機転で、危機を乗り切る。そのとき、ポールが彼らの一行に加わる。

ある日、サバンナの真ん中で眠っていると、マメールが物音に目を覚ます。顔を上げると兵士たちに見つかる。すぐに隠れるが、テオがとっさの判断で、自分だけが立ち上がり、ほかのものを寝かせたままにして、一人捕まる。

テオがいなくなり、マメールがチーフとなりさらに進み、とうとうケニアの難民キャンプにたどり着くそして冒頭のシーンに続いていくのだ。

アメリカに移住を許可されたマメールたちは、カンザスにすむが、姉のアビタルだけ規則でボストンへ。家族が別れることに悩むもどうしようもなく、やがて、地元で仕事に就きアメリカの生活になれてくる。

アメリカで世話をやく就職支援ボランティアのキャリーとも親密さを増し、キャリーはスーダンの難民の現状にしだいに真剣に取り組み始める。そして、苦労してアビタルを呼び寄せる。

そこへ、死んだと思っていたテオがケニアの難民キャンプにいるらしいという手紙が届き、マメールが向かう。

しかし、時は9・11テロのあとで、受け入れはストップしていてテオのビザが降りない。かつて命を助けられたマメールは、ケニアで医師として残ることを決意、自分の名前でテオをアメリカに向かわせる。これが題名のグッド・ライである。

こうして、テオはアメリカで兄弟と再会し抱き合い、マメールケニアに残り、キャリーにことの次第を電話して暗転、エンディングとなる。

アメリカに渡ってすぐの描写に、いかにアメリカのボランティアが形だけの善意かを細かく描写し、さらに就職を受け入れられない難民たちの姿をとらえ、時にアフリカでの幼い日々のマメールたちをフラッシュバックしながらの構成が実に巧みでうまい。

単なる、スーダン難民の物語としてではなく、アメリカの人々の姿も描写することで、本当の問題点をとらえていくあたりの脚本もうまい。

テオたちを演じた人々が実は、スーダン難民の関連者ばかりの素人だというテロップがエンディングに流れるが、それが、押しつけがましい問題定義にもなっていないのが実にさわやか。

本当にいい映画でした。


インヒアレント・ヴァイス
おもしろいのだ、たぶん傑作なのだ、度肝を抜いている映画なのだ。それはわかる。それはわかるのだが、何度か眠くなってしまった。監督はポール・トーマス・アンダーソンである。

とにかく、ふざけきったせりふが次々と飛び出し、悪のりする行動が繰り返される。ばかばかしいほどにばかばかしい展開とストーリーの醍醐味に、いつのまにか巻き込まれていくのだが、眠くなったのは私だけだろうか。

映画は1970年を背景に、とあるビーチを見下ろすカメラアングルから始まる。一人の私立探偵ドックのところに元カノのシャスタが現れ、シャスタの愛人で大富豪の不動産王とその妻の悪巧みを暴いてくれと依頼されて物語が始まる。

ところが程なくして、シャスタが行方不明になり、彼女を捜索するために、奔走するドック。彼の周りにいかにも適当な刑事ビックフットが現れて、ふざけたせりふを連発する。

とにかく、全編やりたい放題の展開と、下品でセクシーなシーンの連続、さらにいわゆるアメリカンジョークのようなせりふが反乱してくる。それが何ともいえなくテンポを生み出して、背後に流れる’70年代ポップカルチャーな音楽が彩りを添える。

映画は大富豪の悪事を暴き、その背後にある汚職警官ビッグフットを摘発し、元カノシャスタと一緒に車に乗り寄り添うドックのショットでエンディング。

これはぶっ飛んだ一本である。そのおもしろさは一回ではわからなかったのか?といって難解な映画でも何でもないのだが、眠くなった。体調?かもしれない。しかしおもしろい映画だった。