「東京の孤独」
芦川いづみ特集上映の一本。本当にたわいのない映画で、誰が主人公かと思ってしまう物語ですが、やはりこのころの映画は安心してみていられる安定感があります。監督は井上梅次です。
物語は、プロ野球の世界でしのぎを削る二つのチームの監督とそこへやってきた二人の新人選手の話が絡み、新人選手が、監督の妹である芦川いづみ扮するヒロインをかけて勝負するという話である。
新人選手役が小林旭と宍戸錠で、この二人が中心かと思えば、芦川いづみ扮するヒロインの父親で、名監督大貫が球団側から追い出されるくだりやら、新人をひっしでてにいれ流くだりやらで、どちらかというとストーリーの中心。
結局、日活が売り出すべきは小林旭なので、小林旭が新人王になり、芦川いづみとハッピーエンドになり、退任した大貫も別の球団に復帰する展開でエンディング。
二時間もないのにやたら長く感じた映画ですが、それなりに最後まで見せてくれるし、クライマックスの見せ場の作りもうまい。井上梅次の職人芸が光る一本でした。