くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

]映画感想「夜明け告げるルーのうた」

kurawan2017-07-20

夜明け告げるルーのうた
アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞のクリスタル賞を受賞した湯浅政明監督作品を見た。

確かに独創的な絵のカットのモンタージュはなかなか面白いのですが、ポニョとトトロがかぶるように見えるシーンがどうも気になって、さらに、やはり悪者は大人たちという今更の構図はありきたりに見えて、素直にアニメのオリジナリティを楽しむことができなかった。確かに、いい作品だとは思うが、そんなに賞を取るほど評価されるものかというのは私の感覚ではよくわからない。

日無町という漁村は、人魚の祟りを恐れた人が作った祠のせいで日の当たる時間が限られている入り江の町である。

主人公カイがパソコンでテンポのいい曲をアレンジしているシーンから映画が始まる。いかにも今時のリズムに乗せて軽快に始まるオープニングが心地よい。ところがこの村の周りには音楽好きの人魚のルーが住んでいて 、カイの曲に惹かれて水を操りカイの目の前に現れる。しかも音楽に乗って踊っているときは足ヒレが足に変わるのである。

一方、地元の若者で仲の良い遊歩と国男はバンドを作るためにメンバーを探していた。カイのアレンジの才能を知った彼らはカイを引き入れバンド練習を無理やり始めるのだが、そこに音楽に乗ったルーが現れる。最初は彼らだけの秘密にしていたが、村のイベントでカイらが演奏していると、隠していたルーが飛び出し、傘をかぶって踊り始め、一躍ネット上で話題になる。ルーは人魚なので日の光に弱く、夜しか活動できないが、傘をうまく使って人前で踊れるのだった。

あとは、例によって大人たちがルーを使って村興しを始めようと企画し、大きなイベントを準備するがそこで大騒動になり、おきまりの「人魚は悪役」と物語は転換していく。

ルーの父親の巨大なサメの人魚も現れ、さらに人魚の祠の祟りで町が水に沈みかけ、人々をルーたちが助け始めてクライマックス。実はルーたち人魚はいい人たちで、過去に人魚に殺されたというエピソードは全て人間を助けるための不可抗力だったことが一気に描かれ大団円を迎える。

そして入り江の祠が沈んでしまったことでルーたち人魚も住めなくなり、カイたちとも別れて消えてしまってエンディング。

ルーはポニョに見えるし、ルーの父親はトトロに見える。水を操る様はポニョだし、ストーリーの展開もこれと言って目新しくないが、シンプルなに普通のアニメ画を繰り返し、それに音楽のリズムをかぶせて縦横無尽に繰り返す映像演出はなかなか面白いし、それに引き込まれることは確かで、湯浅政明監督はリズム感がいいのだろう。

ただ、絵があまり好みではないし、大人が金儲けに走って主人公たちがピンチになる構図も好みではないので、どうも絶賛するほどの作品とは思えなかった