くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ローサは密告された」「海辺の生と死」

kurawan2017-08-16

「ローサは密告された」
フィリピンの下町を舞台にした物語ですが、第三国映画に見られがちな手持ちカメラと長回しによるドキュメンタリータッチの映像でリアリティのある緊迫感を出して行く。ただ、淡々と抑揚のない物語当展開はかなりしんどくなってきます。監督はブリランテ・メンドーサという人です。

雑貨店で販売する小物を仕入れに大型スーパーに買い出しに来た主人公のローサの姿から映画が始まる。レジでは、お釣りがないからと飴を渡されそのまま大量の荷物を持ってタクシーに乗る。

うらぶれた下町の自分の店にやって来て、仕入れた駄菓子らしいものを並べる。しかし程なくして、警察が踏み込んでくる。雑貨店の収入では生計が立たないローサはわずかな麻薬の密売もしていたのだ。

夫とともに逮捕され拘留されたローサは、警察で仕入先の名前を密告させられ、さらに5万(単位がわからない)という保釈金を要求される。子供達は母親のため、長男は家財を売りあるき、次男は体を売り、長女は知り合いを回って金を集め始める。

ようやく集まった四万六千を持って戻るが、足りないと言われ、ローサは娘の携帯を4000で質に入れることに成功。そこで小銭を恵んでもらい、露天の菓子をほうばりながら、ローサと同じよな屋台で駄菓子を売る人をじっと見つめて暗転エンディングとなる。

ローサを演じた女優がカンヌで主演女優賞を取ったというが、それが話題とは言え、正直、フィリピンの現場を知らない我々にはこの映画の価値は見えない。麻薬撲滅に強行的な手段を取っているフィリピンの現実を踏まえた上での作品という評価なのですが、さすがに、理解しきれなかった。


「海辺の生と死」
これほどまでにゆるゆるで役者任せの演出は意図したものなのか、監督に才能がないのかわからない出来栄えの映画でした。しかも脇のシーンの演出が全くなされていないので、映画が締まらない。ここは助監督の仕事ですがそれが機能していないのでしょうか。さらに
永山絢斗のセリフが所々ボソボソと聞こえない。これも演出か?監督は越川道夫。

奄美群島の島、国民学校の教師トエが子供達と森の道を歩いている場面から映画が始まる。ところが道の途中に日本兵が何やら通行止をしている。時は第二次大戦末期、特攻艇をこの島から出撃するために小隊が配属されて来たのだ。

隊長の朔は小学校を訪ねて、兵舎で読む本を借りようとするが、そこでトエ先生と出会う。いつの間にかお互いが惹かれ、ある夜、朔はトエ先生を入り江の小屋に呼び出す。そして次第に逢瀬を重ね二人は気持ちを一つにして行く。

という展開であるが、所々に挿入される戦争の空気感を見せるシーンが実にお粗末。さらに子供達や脇役への演出が雑なので、緊張感が見えない。もちろん、沖縄本島ではないので、戦争の恐怖は直接は見えてこなくて当然かもしれないが、敵機がトエ先生と子供達に襲いかかってくる時さえも、非現実な演出がなされ、朔中尉の身のこなしさえも役者任せ、しかも、満島ひかり扮するトエに対しても任せきりというのは良くない。

一体この監督は何を描きたいのか、脚本にしても良く描けていない気がします。

結局、特攻艇は出撃せず、終戦を迎える。朔からトエに届いた手紙には「元気です」と書かれていてエンディング。

途中、真っ暗な海を岩場伝いに朔の待つ小屋に向かうトエの場面も迫力もなく、なんとも全体が緩いし、2時間を超える長尺。なぜか満席で立ち見状態だがよくわからなかった。