くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ザ・ウォール」「身も心も」

kurawan2017-09-07

ザ・ウォール
登場人物がほとんど一人という異色の戦争サスペンス。終始一人の主人公のセリフのみで展開する面白さがなかなかの一本。監督はダグ・リーマンです。

イラク戦争の勝利宣言をした矢先、二人のアメリカ軍兵士アイザックとマシューズが、敵に狙撃されたらしい死体を遠くに見ながら、じっと情勢を伺ってすでに20時間が経とうとしていた。良い加減、大丈夫だろうと思ったマシューズは、一人死体がある場所へ進んでいく。それをじっと見つめるアイザック

殺されたアメリカ人は、全て頭を確実に撃たれていて即死、その狙撃技術は感心したものの、さすがに油断していた。と、突然銃声が走りマシューズが倒れる。助けるためにアイザックもマシューズのもとに走るが、正確な狙撃で次々と狙われてきた。

なんとか、途中にある石積みの壁に身を潜めたアイザックだが、間も無くマシューズは声がなくなり、死んだと思われ一人になる。

狙撃手の居場所を探るも見つからず、自分の無線機も撃たれていた。仕方なく、隊員同士のトランシーバーでマシューズに呼びかけるも反応はなく、死んだと思われた。ところが突然無線が飛び込んでくる。最初は援軍からだと答えていたアイザックだが、どうもおかしいことに気がつき、突き詰めると、なんと敵の狙撃手からだった。

こうして、この二人というか、アイザックと敵の無線の声との探り合いのサスペンスとなって展開していく。どうやら、敵はこうやって味方になりきって欺きながら、次々とアメリカ兵を呼び、撃ち殺していたのである。

アイザックはなんとか敵の場所を瓦礫の中と目星をつけるが狙撃銃はマシューズがもっている。そんな時、マシューズの意識がかすかに戻る。そして、敵に悟られぬように狙いを定めるが、一発目が失敗、その反撃でマシューズは死んでしまう。

どうしようもなくなって気を失ったアイザックの元にヘリコプターの音が聞こえてくる。アイザックは、なんとかマシューズの狙撃銃を手に入れ、最後の勝負に出る。敵が撃ったという瞬間に撃ち殺すというものだった。

目の前の壁を押し倒し、自分を撃ってくる一瞬を狙って狙撃、そして、意を決して立ち上がってみたが、撃たれなかった。やがてヘリコプターが到着、アイザックはヘリに乗せられ空中に舞い上がる。瓦礫に敵がいると呟くも声にならず、ヘリは瓦礫の上空へ。一瞬の銃声、そして次々と狙撃されヘリが墜落して暗転。

本部からヘリへの無線の声、それに敵が応答し、無事を告げている声で映画が終わる。どちらかというと戦争アクションというより、ホラー系の作品のような様相の映画でした
。まぁ面白かったかな。


「身も心も」
不思議なくらいに心にしんみりと染み渡る男と女の物語。気がつけば、良い映画だったとラストシーンのあと映画館を出ることができる、そんな一本でした。監督脚本は荒井晴彦です。

全共闘世代の岡本と関谷、そして麗子と綾、関谷は学生運動で逮捕され、三年間刑務所に入っている間に、当時の恋人綾を親友の岡本に寝取られる。岡本には麗子という彼女がいたが、綾と結婚、現在ニューヨークにいた。関谷は今は別の女性と結婚し 娘もいるが離婚する空気である。

山間の喫茶店の留守番をすることになり関谷と麗子が再会、お互い若き日のそれぞれの思いを想い出し、別人になってSEXしたりする。

そんな時、綾が岡本との仲が悪くなり日本に戻ってくる。そして関谷と再会。なるべくして体を合わせる。

映画はこの四人の男女の逢瀬を繰り返し、SEXと会話を挿入しながら、若き日の四人の物語を思い起こしていく。

やがて、岡本も帰国、綾と喧嘩腰の会話ののちまた帰っていく。綾も麗子も元の一人になり、普通の生活に戻る。関谷も帰ってみると娘が待っている。

一時の青春の物語をまるで同窓会のように呼び起こし、ひとときの逢瀬をSEXと長回しの会話劇で 見せていく映画作りの面白さにどんどん惹かれる。

淡々と繰り返すドラマですが、本当に心の奥底にしまっていたものを呼び起こすような面白さのある作品で、さりげないドラマなのに忘れられない感動がしんみりと湧き上がる。そんん作品でした。