くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「いつだってやめられる 7人の危ない教授たち」「ゴースト・

いつだってやめられる 7人の危ない教授たち
先日見た「いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち」の一つ前の作品で、あれよりはスッキリとして面白い出来栄えになっていました。物語の構成が良くできているのだろうと思いますが、どこかテンポが合わないのはお国柄のせいでしょうか。監督はシドニー・シビリア

主人公のピエトロが大学で教鞭を振るっているシーンから映画が始まる。一緒にいる教授がいかにも間抜けてたりするキャラクターの造形がいかにも安っぽい。

援助金が下りないために、ピエトロは大学を追われることになります。そこで思いついたのが、その道のプロを集めて合法ドラッグを作るということ。

市販の薬品などを集めてそれを巧みに抽出、さらに金融のプロなども仲間に入れて、資金集めから販売までの一貫した組織を作る。

ドラッグはみるみる評判を呼び彼らは大儲けして行くが、儲けた金の使い方も知らず、どんどんエスカレートしていき、とうとう麻薬を取り仕切る大物ムレーナに目をつけられ、ピンチに陥る。しかもその直前に肝心の薬が没収されていたため、試作で作った一錠をもとにトリックを仕掛け、まんまと切り抜けてしまう。というのが最後の種明かしになってエンディング。

刑務所に入ったピエトロが、生活のためにもうしばらくここにいるように妻に説得され、これが自作の冒頭になる。

良くできたどんでん返しの締めくくりがいいのだが、どこか肌に合わないテンポには最後まで入り込めませんでした。


ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談
ヒット舞台劇の映画化らしく、途中からなんとなくネタが見えてくるし、終盤の演出に至っては完全に舞台劇のオトシを有効に利用してそのまま映像として利用している。確かに面白いが舞台劇あっての映像版という作品でした。監督は舞台の演出も手がけたアンディ・ナイマンジェレミー・ダイソン

何か窓のようなところに揺れるカーテンのカットに始まり、心霊現象や降霊術の真相を暴いて生活するフィリップ・グッドマン教授が降霊術の番組を暴くシーンから映画が始まる。

彼はキャメロン博士という憧れの存在がいたが、いまは行方不明になっていた。ところがある時フィリップの元にキャメロン博士から三つの超常現象を解き明かして欲しいと依頼が来る。早速フィリップがキャメロンの元を訪れると、病身でほぼ寝たきりで暮らすキャメロン博士がいて、三つの話の説明をされる。

フィリップは早速その三つの調査に乗り出すのが本編となる。

最初の事件は警備員をするトニー。彼はとある建物の警備の時に古から住んでいた亡霊に遭遇したのだという。
二人目は、サイモンという若者で、大学に落ちた時に車を運転していて事故を起こし、その場を逃げたものの何者かに襲われたのだという。
三人目はマイクという投資家で、妻が出産の時に死んでしまい、その亡霊に家で遭遇したのだという。そしてマイクはフィリップの目の前で猟銃自殺する。

これだけだと「本当にあった怖い話」的なイギリス版に見える。それぞれの話の中の映像にいかにもな亡霊や不気味な影のカットを入れているのがちょっとおかしいと気がつくと、大体のネタが見えてきてしまった。

フィリップは、三つの話は全て人間が見るべくして見ようとしただけの幻想だとキャロン博士に説明しに行くが、突然、キャメロンが仮面を剥がすとマイクになる。そして、住まいの壁を剥がすと別の空間になり、かつてフィリップが子供の頃、いじめられて、あるトンネルの前でたまたま通りかかった知的障害の少年をいじめっ子らと見殺しにした過去の場面に引き戻す。

そしてそこで、その時死んだ少年フィリップに襲いかかる。そしてフィリップをパジャマ姿にしてベッドに押し付けると、フィリップは昏睡状態で病院に横たわっている。彼は列車の中で自殺未遂をしてここに担ぎ込まれたらしい。

マイクと思っていたのはフィリップの担当の医師、サイモンは看護師、トニーはこの病室の掃除人で、彼がベッド脇に鏡を持ってきて外が見えるようにしてやると、その鏡には冒頭の窓の景色が写っていた。

要するに、昏睡状態になったフィリップの頭の中で再現された幻覚であったということである。

クライマックスの場面転換は明らかに舞台的な演出であるが、全編の構図は映像的に格調のある美しい配置になっている。それぞれのホラーシーンは今時ありきたりなストーリーと怖がらせなので、それがかえって終盤のネタバラシにつながると言えなくもない。

素直で真面目な作品ですが、舞台劇としての仕上がりの台本だと思います。