くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「寝ても覚めても」「SUNNY 強い気持ち・強い愛」「MEG ザ・

kurawan2018-09-11

寝ても覚めても
映画としても見るべきシーンもあり、なかなかの作品になっていますが、個人的にはあまり好きな映画ではなかった。主演の唐田えりかがちょっと弱いですね。東出昌大が最近演技力を上げているので、ちょっと役不足に見えました。監督は濱口竜介

大阪に住む朝子は、ある展覧会でひとりのボサボサ頭の青年に出会う。帰り道、ふとしたことで彼と相対することになりお互い一目惚れしたようにキスをする。

そして朝子は出会った青年麦と付き合うようになり、友達の春代と岡崎に紹介する。こうして四人のほのぼのした付き合いが始まる。ところが、ある時突然麦は朝子の前から消えてしまう。そして2年。

東京に転勤になった亮平が会議のかたずけをしていると、そこに隣の喫茶店に勤める朝子がポットを回収しにくる。朝子は良平を見て、あまりに麦にそっくりなので言葉を失う。

朝子は東京での友達で女優をしているマヤとある写真展を見に行き、時間ギリギリで入れないところを通りかかった亮平の機転で入れてもらう。朝子はなかなか亮平に近づけなかったが、少し話せるようになる。しかし亮平に麦を見ている朝子は亮平にもう会えないと告げ行方をくらます。

マヤの舞台で会えるのではと思って出かけた亮平だが、朝子に会えず、そこへ地震が起きて、歩いて帰る羽目になる。そこで偶然朝子に遭遇、朝子は我慢できず亮平にしがみつく。そして二人は同棲を始め5年が経つ。

大阪の本社に戻る話が出た亮平は朝子に結婚して一緒に大阪に行こうという。そんなある日、朝木は街で春代に会う。春代は良平を見て絶句してしまう。そして朝子に、麦は人気モデルになっていると街に飾られている麦の姿を教えるのだ。

朝子は一気に麦のことを思い出し、それでも亮平を愛している自分を信じ、ある時ロケに来ていた麦の車にバイバイをする。そして、亮平にも朝子は過去を話すが、亮平は気になって気づいていたが大丈夫だと告げる。

これでうまくいくかに思われた矢先、自宅に麦が現れる。そして亮平と朝子の婚約祝いと良平の送別祝いで友達で集まっているところへ突然麦が現れる。朝子も麦に引っ張られるままについて行き、亮平の止めるのも聞かず麦の車で麦の故郷と北海道へ向かう。

マヤからは二度と自分たちの前に現れるなとまで言われるが春代はこうなる予感がしていたとメールが来る。しかし仙台あたりまで来て朝子はやはり亮平のもとに戻るからと麦に別れを告げる。一体この女はなんなのだ、と思うが、非常に複雑な心の変化を演じるには流石に唐田えりかは実力不足のようで、正直人間味を感じないのです。

そしてひとり朝子は亮平と住む予定だった大阪の家に向かい、亮平に会う。当然ながらけんもほろろに追い返される朝子。それでも、謝りたいとドアの外で叫ぶ朝子に亮平はドアを開け、朝子が飼っていて、亮平に託した猫を手渡す。

朝子は中に入り、亮平とベランダに立つ。「生涯朝子を信じることはない」という亮平を受け入れる朝子。二人はじっと外を見ている。確か、このベランダからは淀川の支流の天の川が見えるという不動産屋の説明があった。二人はとにかく一緒に暮らすのだろう。

朝子が亮平に追い返された後、亮平の学生仲間の岡崎の元を尋ねるが岡崎は不治の病で寝たきりになっている。というエピソードが插入され、その母と話して再度決心して亮平の元に向かうのだが、この辺りの朝子の心の変化も見えづらい。

もちろん、麦に強引に連れ去られてから亮平の元に戻る決心をするくだりが、かつて東北のボランティアに行った亮平と朝子の帰りのドライブに重なる演出になっているものの、やはり心に変化は見えないといけないと思う。

映像作品としては良くできているし、適度の省略が話に不思議な深みを作り出しているのも確かですが、どこか無駄なのかなぜなのかわからないエピソードがわかりづらい。

原作があるのでそのあたりはどうなのかわからないけれど、そこの脚本化がうまく行っていないのではないでしょうか。悪くない映画ですが、どうも素直に受け入れ難い作品でした。


SUNNY 強い気持ち・強い愛
韓国版のオリジナルも見ていますが、そちらのやや稚拙な部分をカバーして1990年代の懐かしい日本のノスタルジーに浸りながら大根仁監督らしいミュージカル仕立ての演出を楽しめました。ただ、オリジナル版のストーリーの弱さを払拭することができなかった。もっと思い切って組み直して見たらもっと良くなったのにという感じです。

平凡な主婦生活をする主人公奈美の日常から映画が幕を開ける。高校生の娘は反抗期、夫は仕事人間で家庭を顧みない。母の入院先を見舞いに行った奈美はかつての高校時代の友達芹香が入院していることを知る。

病室を訪ねた奈美に芹香は余命一ヶ月の癌で、高校時代の友達でサニーのグループメンバーに会いたいと告げる。

早速、奈美は興信所を使い探し始める。映画は今の奈美から高校時代淡路島から東京へ転校してきた奈美のカットを繰り返しながら、時にダンスシーンを入れたミュージカル仕立てで進んで行く。

前半は軽快でいいリズムなのですが、次第にそのテンポが滞ってくるのは、過去の友達の現代の姿が暗い今になっているところや高校時代の暗い思い出などが入り出すと崩れ出す。

結局全員揃う前に芹香は死んで、その葬儀の場に最後に奈々が駆けつけて大団円。

前半のオリジナリティあふれる大根仁カラーがどんどん平凡になる後半がちょっといただけない。バブル前の日本の風俗を思わせる音楽の挿入も前半は美味いが後半やや力不足になる気がします。

凡作とは言えませんが大根仁監督作品としてはあまりできが良くなかったように思います。でも、懐かしい景色を見せてもらってそのノスタルジーで胸が熱くなってしまいました。


MEG ザ・モンスター
なんともダラダラした物語構成と、どこへ行くのかわからないストーリーテリング、特撮シーンを見せるだけのエピソードの羅列には参ったが、退屈はしなかったからB級娯楽映画としては楽しめた。監督はジョン・タートルトープ。

深海で救出作業をする主人公ジョナスが、巨大な生物に襲われながらも潜水艦に残った一部の人を切り離す決断をして救出するシーンから映画が幕を開ける。

マリアナ諸島の深海のさらに奥にもう一つの深海があると仮定して研究する世界一の海上研究施設に、ここの出資者がやってくるところから物語が始まる。

そして深海艇が第二の深海へ入り込んだのはいいが巨大な何かに襲われ浮上不能になる。そこで、引退していたジョナスが呼ばれる。よくある展開である。

そして巨大鮫を発見するが無事救出。ところが深海から巨大ザメが浮上してきて研究施設を襲ってくる。そこでこの鮫を倒そうと小型船で迎え撃ち、毒薬で殺傷してしまうのが中盤。なんともあっさりやられてしまうモンスター。

一安心していると、実はもう一匹浮上していて、それがビーチを目指しているらしく、もう一度殺傷するべく果敢に立ち向かう。そしてなんとか倒して大団円。

そこかしこによくある展開が插入されていて、それがなんの工夫もなく、ただ鮫がやたらでかいというのだけが売りなのだが、そのでかさの迫力などほとんどなく、芸のなさが実に残念だが、そういう作り方で押し切ったのだからよしとしましょう。娯楽映画の凡作、それで楽しめたからいいとしましょう。