くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「トールキン 旅のはじまり」「ゴーストランドの惨劇」

トールキン旅のはじまり」

指輪物語」の原作者J・R・R・トールキンの半生を描いた作品ですが、真面目な映画で特に優れた何かを狙ったものでもありませんでした。彼の作風の源が見えなかったのはドラマ的に不十分だったのかもしれません。監督はドメ・カルコスキ。

 

第一次大戦の前線で友人を探すトールキン少尉の姿から映画は幕を開け、このシーンを時折挿入しながら彼の少年時代から親友たちと出会うハイスクール時代、さらに大学時代へと展開していく。

 

言語学に才能を発揮した彼の姿と、親友たちとの青春の日々、恋人エディスとの出会いなどを経て、冒頭の戦場シーンへ。親友のうち二人が戦死して帰国したトールキンのシーンでクライマックスを迎える。

 

これという場面も展開もなく、映像の所々に彼の小説のシーンらしいものを挟み込む程度の工夫だけである。まあ、普通の自伝映画という感じでした。

 

「ゴーストランドの惨劇」

久しぶりに、息をも付かせないホラー映画に出会いました。呪いとか化け物ではないので、純粋に殺人鬼によるハラハラドキドキです。しかも伏線を張り巡らしたストーリー構成の面白さも堪能しました。監督はパスカル・ロジェ

 

叔母の家を相続して、ポリーンと二人の娘ヴェラとベスが車で向かっているシーンから映画は始まる。仲の悪い姉妹は何かにつけ喧嘩をしている。妹のベスはラヴクラフトの大ファンで自らもホラー小説を書こうと思っている。一方のヴェラは自由奔放な性格で全く二人は合わない。

 

そんな彼女らの横をキャンディ販売の大きなトラックが通り過ぎる。ヴェラはその車をからかい、ベスは手を振ったりするが、これがこの後の惨劇へつながっていく。

 

叔母の家についたものの、いかにもアンティークな室内に辟易するヴェラ。途中のガソリンスタンドで寄った時に、新聞記事で、家族を惨殺し、娘だけを拉致したという記事が挿入される。そして不気味なキャンディカーが通り過ぎる。

 

ポリーンたちが叔母の家について間も無く、さっきのキャンディカーがやってくる。そして、突然母親は大男に突進される。続いてその大男はヴェラとベスを地下室に引っ張っていく。さらにもう一人、不気味な女も登場し、ポリーンの家族との死闘が繰り広げられる。そしてなんとか侵入者を倒し、時が経つ。

 

今や売れっ子のホラー作家になったベスは結婚もし、子供もできて平穏に暮らしている。「ゴーストランドの惨劇」という小説を発表したばかりだった。そんな彼女にヴェラから電話がかかる。今もヴェラとポリーンはあの家に住んでいたのだ。ここからしてまずおかしいのだが。その真相は間も無くわかりる。

 

あの日以来ヴェラは気がおかしくなり、ポリーンはヴェラの面倒を見るために二人で暮らしていた。ベスは久しぶりに母の元を訪れ、ヴェラをなだめながら一夜を過ごす。ところが、これは全てベスの空想の世界だった。

 

あの日、ポリーンは殺され、ヴェラとベスはそのまま拉致されて今になっていたのだ。そして不気味な大男に人形として弄ばれ、おそらくその男の母親で狂った女の元で時がたっていたのだ。

 

ベスはこれまでに現実から逃げることしかしていなかったが、必死で脱出する手段を考え、ヴェラと一緒にとうとうこの家から脱出。パトカーに拾われるが、その警官もあの狂った女に撃たれ、再び屋敷に連れ戻される二人。ベスは再び空想の世界に入り込んでしまうが、再度勇気を持って現実に立ち向かう決心をして姉を助けに飛び込んでいく。

 

そして、大男に殺される寸前に警官が駆けつけ、犯人は射殺され二人は助かる。所々に現実の展開と架空の展開が伏線として張り巡らされ、その一つ一つが混乱しない演出になっているのは見事です。ラストはハッピーエンドながら、最後に映される様々なカットがこれまでの真相を語っていきエンディングもいい。なかなか見ごたえのあるホラー映画でした。