くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「2人のローマ教皇」「再会の夏」「こんな私じゃなかったに」

「2人のローマ教皇

これまたNetflixドラマ。物語の組み立てが完全にテレビサイズでやたら長く感じてしまいました。確かに主役の2人の演技力は素晴らしいので魅せてくれますが、やはりネット配信並みの映像はなかなか受け入れ難いです。監督はフェルナンド・メイレレス

 

今まさに新しいローマ教皇が誕生しようとしている場面から映画は始まる。何度かの投票ののちに教皇となったのは保守派のベネディクト。何事も教義中心という彼の信条は受け入れられないまま、やがて数々のスキャンダルが持ち上がる。

 

ベネディクト教皇誕生とともに、改革派のベルゴリオ枢機卿は教会をやめることを決意する。そして教皇に伝えるため謁見を求め、自らローマへ赴く。ところが教皇は頑なに辞職願を受け取らない。二人はいつのまにかつかの間の時間での会話をくり返すことになる。ベネディクト教皇は次々と持ち上がる問題に奔走し、また市民からも反発を食い、孤独の淵にいた。そして、教皇枢機卿に、自分は生前に退位することを告白する。

 

後継者にベルゴリオ枢機卿が投票で選ばれることを望むが、実はベルゴリオ枢機卿は、若き日に、政治的な圧力に屈し、同士を死に至らしめた過去があった。もちろん教皇はそれを承知の上での希望だった。枢機卿教皇と過ごしたこの数日で、いかに教皇が孤独に打ちひしがれているのを身にしみる。そして、謁見を終え、枢機卿はアルゼンチンへ帰る。間も無くしてベネディクト教皇は退位を表明。その後の投票でベルゴリオ枢機卿教皇となる。やがてベルゴリオはベネディクトのもとを訪れ、二人でサッカーの試合をテレビで見るシーンで映画は終わる。

 

事実をもとに作った話なので、エンディングでは実際の2人が映されるが、とにかく、ベルゴリオが過去を告白していく終盤がやたら長く感じるのと、それまでの二人の物語から少しずれていく気がする。前半は明らかにベネディクト教皇の話だと思うので、結局どっちつかずの描き方になったのは、これはテレビならありかなという感じでした。

 

「再会の夏」

オープニングからの展開の割にはお話がいかにもスケールの小さいラストに収束した。結局、誤解から意地を張ってただけかという主人公の物語。監督はジャン・ベッケル。

 

主人公モルラックの愛犬が吠えている場面から映画が始まる。モルラックは、広場で騒ぎを起こしたために逮捕されて、牢屋にいるらしい。そこに、判事であるランティエ少佐がやってくる。勲章までもらったモルラックが、なぜ真実を話し、無実を訴えないのかを聴取して明らかにしたいのだった。

 

物語はモルラックが出征し、戦地で犬とともに戦い、ふとしたことから名誉の負傷をして勲章を授与されるまでがフラッシュバックとランティエ少佐の聴取とが交差して展開する。

 

やがて、たまたま特別休暇で戻ったモルラックが、妊娠している妻を見かけた際に、たまたま男がそばにいたため、疑いを持って自暴自棄になったことがわかる。

 

聴取の最後の日、ランティエ少佐は、モルラックに無罪を言い渡す。それを知ったかどうか、犬がモルラックのそばにやってくる。モルラックと犬は妻のところへ行く。犬が吠え、妻はモルラックを迎え入れて映画は終わる。

 

モルラックが騒ぎを起こす時に、勲章を犬の首にかけるという行為をするし、戦争に極度の反感を持ったかの描写も繰り返すのに、結局ラストはこれかという小さなエンディング。拍子抜けするようなラストの映画でした。

 

「こんな私じゃなかったに」

大した映画ではないのですが、どうも川島雄三監督の感性が自分に合うのか、面白くて仕方がない。さりげなく繰り返す歌の挿入やばかばかしいコミカルシーンのカットが真面目な物語に絡ませるテンポに魅了されてしまいます。

 

大学の天文学部の学生真吉が、雨の中天体望遠鏡を守っているシーンから映画が始まる。繊維の研究をする千秋には、苦労して育ててくれた姉の昌子がいる。昌子の息子が病気で入院しなければならなくなり、お金が逼迫したことを知った千秋は姉に黙って芸者になる。

 

学生が芸者をすることに極端な偏見もあった時代を組み入れながら、千秋の周りですったもんだが始まる。たまたま、千秋がお座敷に行ったところで知り合った矢島という紳士が真摯に相談に乗ってくるが、実は矢島こそ、昌子の元恋人で、昌子はこの男に捨てられたと思っていた。

 

ところが、戦後の混乱で、昌子が死んだと思った矢島は仕方なく養子になってしまい、それでも昌子を忘れられず今まで独身であったという事情が明らかになる。そして矢島は昌子と結婚することになり、千秋も芸者をやめることになり真吉との恋も成就して映画は終わる。

 

とにかくやたら複雑な展開で、雑な脚本ではあるが勢いで演出していった職人技のような展開が実に楽しい。しかも、作っている時代背景や風俗が見え隠れするノスタルジー感も最高。楽しい映画でした。