2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧
「女王蜂と大学の竜」 時間内に収めるためとある程度の尺を作るために淡々と展開するたわいない娯楽アクションで、何の変哲もない映画だが、今となっては絶対に作れないストーリーゆえ、今見れば値打ちがある一本かもしれない。監督は石井輝男。 戦後間も無…
「地平線がぎらぎらっ」 本当にたわいのない娯楽映画で、面白おかしく展開するだけの素朴そのものの作品だった。監督は土居通芳。 次々と何やら犯罪に手を染めている男たちが捕まる場面から映画は幕を開ける。彼らは同じ刑務所の同じ部屋で刑に服している。…
「ビートルジュース」 1988年の第一作をようやく見ることができた。独特の造形のマペットアニメと実写を融合、遊び心満載で描くゴシックファンタジーは楽しいのですが、ストーリー展開が少々リズム感に欠けるために、上映時間の割に長さを感じてしまう。でも…
「アニエスV.によるジェーンB.」 美しい映像と幻想的な演出、時に空想を交え、さまざまな姿のジェーン・バーキンを見せていく。ドキュメンタリーでも私生活映画でもなく、映像の散歩のような展開に終始魅了されてしまう詩的な映画だった。監督はアニエス・ヴ…
「女吸血鬼」 今一つお話の脈絡がチグハグなところもあるけれど、適当に作ったホラー作品の面白さを楽しめる一本だった。天知茂の吸血鬼が見ものでした。監督は中川信夫。 新聞記者の大木がタクシーで許嫁伊都子のバースデイパーティに向かっている場面から…
「マッドマックス2」 初公開以来約40年ぶりの再見。初めてみた時は、前作のイメージが払拭できず、それほど印象になかったが、今回見直して、相当な傑作だったと再認識した。脇に出てくる登場人物が一気に多彩になるし、ストーリー展開の組み立ても抜群に面…
「太平洋戦争 謎の戦艦陸奥」 第二次対戦中、瀬戸内海で謎の爆沈で沈んだ戦艦陸奥の史実を元に描かれたサスペンスフィクションで、驚くほどの出来栄えではないものの、クライマックスのハラハラ感はなかなか見応えのある映画だった。監督は小森白。 時は1942…
「ブルーピリオド」 いい映画だった。シンプルな物語で、真っ直ぐに主人公の向かう姿を素直に捉えていく演出がいい。脇役を作り上げて主人公を浮き上がらせる映画的な演出を施さず、あくまで絵をモチーフに、それに向かう人物を描いたのが良かった。まるでキ…
「新米記者トロッコ 私がやらねば誰がやる!」 期待を裏切らない最高に楽しい映画だった。一高校という小さな世界で展開する広い一般世界の物語をサスペンスフルに仕上げた佳作。終盤は若干先が読めるものの、素人臭い演技が次第に昇華されていく展開が抜群…
「劇場版 モノノ怪 唐傘」 テレビアニメの劇場版ということなのでかなり迷ったが、見に行って正解だった。圧倒されるCGアニメを鑑賞したという感覚に浸ってしまう圧巻のアニメ映画だった。全てが芸術、アートの世界である。ストーリー展開がやや甘く、細かい…
「汚れた肉体聖女」 同性愛を真正面からしかもエンタメとして描いた作品が日本にもあったというのにまず驚く。ヒッチコックタッチのような作りでサスペンスを盛り上げていく手法が面白い映画だった。監督は土居道芳。 宗教(キリスト教が前提だが具体的に指定…
「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」 孫がお盆で来たので何十年ぶりかでこの手のアニメを見に行った。こんな作品の出来がどうこうというのはよくないかもしれないが、中に一級品のクオリティのものがあるので、あえて感想すると、過去の様々なネ…
「夜の外側 イタリアを震撼させた55日間」 全編340分を前後編に分けて上映しるアルド・モーロ誘拐事件を扱った作品。重厚な演出で淡々と描く物語は見応え十分ではあるが、いかんせん、イタリア本国の部外者には、ローマ法皇の存在やイタリア政治の現実が身を…
「影法師捕物帖」 90分足らずなのにやたら長く感じてしまう映画で、チャンバラシーンが次々と出てくるのだが物語が全然前に進まない。嵐寛寿郎三百本目記念作品ゆえに延々と見せ場を作ったのだろうが、さすがにしんどい。とは言え、影を多用した個性的な映像…
「日本敗れず」 芸達者を一堂に集めてリアリティと重厚な演出を徹底したいわゆる「日本のいちばん長い日」を描いた作品で、非の打ち所がない緊迫感と圧倒的な迫力に魅入ってしまう見事な作品だった。監督は阿部豊。 終戦後約十年の歳月が流れた東京の街のカ…
「マッドマックス」 初公開以来の四十年ぶりの再見。ほとんどのシーンを覚えていたが、ラストシーンはすっかり勘違いしていた。結局暴走族のボスを殺すところまでいかず、復讐に燃える場面で映画が終わる。決して名作とか傑作というより、低予算のB級映画の…
「戦艦大和」 大和が撃沈される場面をクライマックスに描かれる乗組員達の群像劇。戦記物映画というだけの作品ですが、撃沈から八年後という制作年が一つの注目点かもしれません。監督は阿部豊。 戦艦大和を沖縄へ特攻作戦に出すかどうかという「天一号作戦…
「流麻溝十五号(りゅうまこうじゅうごごう)」 ほとんど知らない台湾の戦後の歴史を勉強させてもらった感じの作品でした。物語は群像劇タッチで描かれていくのでドラマ性は希薄ですし、いかんせん史実を知らないものには、まず物語の入り込むまでがちょっと難…
「ツイスターズ」 ヤン・デ・ポン監督の「ツイスター」からドラマ部分を排除して、単純な娯楽映画としてのディザスターアクション映画という感じで、典型的なアメリカ映画の展開と演出スタイルでラストまで突っ走るエンタメ映画でした。単純に面白かった。そ…
「美しき仕事」 2022年、世界のベスト映画7位に選ばれ、制作された1999年以来未公開だった幻の傑作と言われる一本。確かにクオリティは高いと思うけれど、では生涯に見るべき映画に選ぶほどのものかというのが正直な感想でした。ぼんやりと語られるジェンダ…