くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「歌行燈」「切られ与三郎」「ジュマンジ ネクスト・レベル」

「歌行燈」

目の保養になるくらい美しい色彩と構図の画面が素晴らしい。傑作とはこういう映画を言うのだと言わんばかりの素晴らしい映像芸術を堪能しました。監督は衣笠貞之助

 

場所は伊勢、明治三十年頃、東京から伊勢にやってきた東京の能の家元恩地源三郎の舞台から映画は始まる。一方、地元の能の家元宗山の家では恩地の舞台をひたすらけなしている。そこへ一人の若者喜多八がやってくる。そして宗山の謡を聞かせてほしいというが、しばらくして自ら鼓を打ち合わせていくのだが、次第に宗山は謡が乱れそのまま倒れる。喜多八は恩地源三郎の息子だった。つい父を侮辱した宗山の鼻を明かしてやろうとしたのだ。

 

宗山は自らの芸の未熟さに錯乱し、井戸に落ちて死んでしまう。宗山には娘のお袖がいた。源三郎は喜多八がムキになったことに激怒し、破門にしてしまう。喜多八は宗山の通夜の席に行き、そこでお袖と出会いおたがいこころがひかれる。

 

やがて、喜多八は旅に出、お袖は芸者に身を落として生活を支える。しかし、芸事に身の入らないお袖は転々とお茶屋をたらい回しされ、再び伊勢に戻ってくる。そんな時、流れ流れた喜多八も伊勢に来ていた。そして、お袖と再会。お袖は喜多八に、謡の教えを乞う。森の中で二人が幻想的に稽古するシーンが息を呑むほどに美しい。

 

お袖は、ある旦那から気に入られ身受けが決まる。やがて喜多八との稽古も終わり、最後に森で披露しようと約束するが、たまたま、喜多八は喧嘩をして留置場に入れられ、お袖は待ちぼうけをする。翌日、お袖は身受けされることが決まっていたのだが、その日から体を弱らせ寝込んでしまう。なんとか起き上がれるようになったが、悲嘆の中、猫いらずで死ぬ覚悟をし最後のお座敷へ行く。

 

そこで、旦那が急用で来れなくなり臨時に行った座敷で源三郎に出会う。そして、源三郎の前で喜多八に習った舞を舞う。一方、やっと留置所から出た喜多八は酔いつぶれて路地に寝込んでいたが、父の謡の声を耳にし、それを追い求め、父が謡をする座敷へやってくる。お袖は、隠していた猫いらずを取り落とし、死ぬことをやめる決心をするが、やがて、喜多八の謡と源三郎の謡が重なり、お袖と喜多八は再会し、庭で抱き合って映画は終わる。

 

とにかく、手前に木を配置した構図、ほんのり温かみのある光の演出など絶品に近いほど素晴らしく、どのシーンもポスターにしたくなるような見事さである。ストーリー展開のスピードも絶妙で、これぞ日本映画の真骨頂と言わしめてもいいほどの素晴らしい映画でした。

 

「切られ与三郎」

有名な演目ですが、かなり荒っぽい脚本ではコロコロと物語が進んでいくちょっと雑な作品でしたが、やはりこのころの映画は楽しいです。監督は伊藤大輔

 

蝋燭問屋の養子に入った主人公与三郎が、元来の三味線好きで舞台袖でお囃子をしている場面から映画が始まる。与三郎を養子に迎えたのすぐに男の子が生まれたので、与三郎は身を引いて長屋住まい。そこへ妹のお金がやってくる。彼女は幼い頃から与三郎を好いていた。

 

与三郎は一旦実家へ行くが、弟に晋代を譲らせるべく旅に出る。そこでお富という女と出会い、お富に言い寄られるも、お富の旦那に捕まり、責められる。簀巻きにされて川に投げ込まれるも旅芸人の一座に助けられる。

 

一座でかつらという女と出会うが、一座を去った与三郎は、行きずりでかつらと再会するも再び裏切られ、とうとう人殺しの罪まで被せられる。そんな与三郎は、ひょんなことからお富と再会。お金が旗本の人身御供にあげられるのを助けるためお富を巻き込むも、またまた裏切られ、とうとう与三郎はお金と入水自殺して映画は終わる。

 

歌舞伎の名演目なので、見せ場を羅列したような荒削りな展開が繰り返され、宮川一夫のカメラは冒頭のタイトルバックには生かされるも、あとはそれほど目立つ場面はなく、伊藤大輔監督得意の御用提灯シーンも今ひとつ生きていない。演目を知る人はそれなりに楽しめるんでしょうが、映画として純粋にみれば普通の作品という感じでした。

 

ジュマンジ ネクスト・レベル」

まあ、普通のエンタメ映画ですが、結構楽しめました。物語はゲームの中の世界なのでこれというものはなく、強いて言えば、余命わずかなマイロが最後にゲームの世界に残るというくらいです。監督はジェイク・カスダン

 

なんか訳もなく落ち込んだスペンサーがかつてのゲームジュマンジでゲーム世界に取り込まれてしまう。彼を助けるために以前の仲間が再度ゲームの中に入って繰り広げるアドベンチャー。まあ、なんの変哲も無い娯楽映画です。猿の軍団に襲われる吊橋のシーンはなかなか面白かった。