くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「グリンゴ 最強の悪運男」「影裏」

グリンゴ 最強の悪運男」

アマンダ・セイフライドが出ているので見に行ったというレベルなのですが、何とも言えないごちゃごちゃのストーリーで、先が読める二転三転のドラマの連続がいかにもB級映画らしい一本。誰が主人公かわからなくなってしまう骨格のないお話は退屈はしなかったけど、何なのだという感じでした。監督はナッシュ・エドガートン。

 

製薬会社を営む友人のリチャードのところに部下で友人のハロルドから電話が入る。メキシコで拉致されたから助けてくれという。物語は二日前へ。リチャードに雇われているハロルドは、たまたま会社が売りに出されている噂を聞く、しかも、リチャードに問い詰めても拉致があかず、メキシコの支社での在庫の不正を調べるのに同行することに。ところが、リチャードのデスクのパソコンが偶然見れてそこで、会社の売却と自分がクビになることを知る。しかも妻に報告したら、妻は不倫をしていて離婚すると言い出す。相手はリチャードだった。

 

そんなドタバタでメキシコに行ったハロルドとリチャード。リチャードを先に返し、ハロルドはリチャードに復讐すべく、誘拐されたと狂言するために安ホテルへ。そこのオーナー二人を巻き込んで狂言誘拐をする。一方リチャードは兄で難民キャンプで慈善活動するミッチに助けを求める。ミッチは以前は政情不安な土地で荒っぽい仕事をしていたのだ。そんな時、楽器店の店員とその恋人サニーは、薬の運び屋の仕事をすれば金になると言われメキシコへ旅立つ。

 

一方、メキシコの支社の社長は取引先の麻薬王ブラックパンサーに、本社から取引を切るように言われたと告げにきて親指を切断される。さらに、製薬会社の違法ドラッグの薬の製造場所にハロルドの認証がいることを知り、ハロルドを捕まえようとする。また、ブラックパンサーがハロルドを探していることを知った安ホテルのオーナーは金になるとハロルドを探し始める。こうして、ハロルドをめぐるドタバタ劇が目まぐるしくぐちゃぐちゃに展開していく。

 

ミッチに助けられたかと思えば安ホテルのオーナー達に拉致され、さらにブラックパンサーにもつけ狙われ、二転三転で、振り回されていくハロルド。その途上でサニーたちとも知り合う。しかも、ハロルドには会社が生命保険をかけていて、死んだほうが金になると知ったリチャードはミッチに殺しを依頼してしまう。

 

そしてサニーの恋人が薬を届ける先はリチャードの会社の支社の工場で、そこにブラックパンサーが捕まえたハロルドを連れて認証により入ろうとやってくると、警察がやってくる。しかもブラックパンサーの側近は麻薬取締局の潜入捜査官で、結局、みんな死んでしまい、ハロルドは死んだことに捜査官にしてもらって、ミッチが持ち歩いていた金と偽造パスポートで脱出。これまでの不運な貧乏クジにさよならをして南の島でバーを経営している姿でエンディング。サニーにはメール連絡をするエピローグになる。

 

アマンダ・セイフライドが完全な端役というのも信じられない映画ですし、次は彼が、次はあいつがと先が読めるどんでん返しも唖然とする作品で、まさにB級エンタメ感満載の映画でした。

 

「影裏」

何とも陰気な映画だった。全体のお話の構成はわかるのですが後半に至るまでの部分で、主人公今野が日浅にのめり込んでいくその度合いが十分に描けていないので、何で後半あれほど必死になるのかが見えてこない。綾野剛が弱いというほかない。監督は大友啓史。

 

深夜の配送センターで働く主人公今野の姿から映画が始まる。仕事が終わり帰りかけると一人の同僚の女がやってきて少し時間が欲しいという。帰り道のファミレスで女は日浅のことを話し始める。時は一年半ほど戻る。

 

今野は会社で日浅という人懐こい同い年の男と出会う。釣り好きな日浅は今野を誘い、みるみる二人は親しくなるが、日浅は人を見る時はその裏の一番暗い部分を見ないといけないという。間も無くして日朝は会社を辞めるが、突然、互助会の営業職に就いたという日浅が訪ねてくる。そして以前のように釣りに行ったりするが、ある時、ノルマ達成のために契約して欲しいとやってくる。その後も付き合いは続くが、東日本大震災後会わなくなる。

 

そしてファミレスの場面。誘った女は、日浅に契約をたくさん頼まれ、金も貸したという。しかも今彼は行方不明で、津波に流されたのではという。今野は、日浅が気になり、日浅の父のところに行くが、日浅は大学の卒業証書を偽造し、ずっと自分を騙してきたと言って、捜索願も出さず、親子の縁を切ったと言われる。兄のところに行ったが、どうにもならなかった。この辺りの日浅の本当の姿が見えてくる下りが前半と全く空気感が同じで、余計に陰気になってくる。しかも、後半で出てくる副島という今野のゲイの恋人が、ラストで、釣りに行った今野に寄り添っていて映画が終わるにあたり、一体何を描かんとしたのか混乱してしまった。

 

原作があるので、そちらはしっかりと描けておるのかもしれないが、とにかくキャストの演技が弱いのか演出が弱いのか、何とも言えない陰気な映画でした。