くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「疑惑の渦巻」「秘密調査員」「出獄」

「疑惑の渦巻」

催眠術という、今や取り扱われなくなった手段によるサスペンス。わかりやすいストーリー展開と謎解きに最後まで引きつけられるのですが、ラストがちょっと雑に仕上げたのは少し残念でした。監督はオットー・プレミンジャー

 

一人の女性アンが、デパートを出たところで万引きを疑われ、連れ戻されるところから映画は始まる。そこに駆けつけたのが精神科医のコルヴォで、アンの夫が著名な精神科医サットン博士であることなどを説明してアンを助ける。コルヴォはこれをきっかけにアンに近づき、テレサという女性に引き合わせる。実はコルヴォはテレサから金を借り、それを返すように迫られていた。

 

コルヴォは巧みにアンを催眠術にかけ、テレサを殺害したように思わせる。まんまとハマってしまったアンは警察に捕まり、辻褄のないことを証言し、すっかり信用を無くす上に、夫からも疑われる。

 

一方真犯人のコルヴォは胆石の手術で入院していてアリバイがある。しかし、サットン博士は自分に催眠をかけて痛みを隠す方法があり、それで、コルヴォは自らテレサを殺したと警察に訴える。さらに、サットン博士がテレサを診察した時に、テレサはコルヴォの殺されるということを訴えていてそれを録音してあったが、その録音盤をコルヴォはアンに催眠をかけて隠させていた。

 

サットン博士は妻アンに再度現場に連れて行って記憶を思い起こしたいと警部に頼み現場へ。一方のコルヴォは再び自己催眠をかけて現場に行き、録音盤を聞こうとする。そして、犯行現場で全員会うことになり、業を煮やしたコルヴォは銃でアンらを狙うが、自らの手術の傷に限界が来て、自白した直後に死んでしまう。

 

アンの疑いが晴れ、釈放が決まりハッピーエンド。少々ラストはあっけなかったのと雑な処理になったのは残念ですが、終盤までは面白かった。

 

「秘密調査員」

アル・カポネらが世間を牛耳っていた時代、一人の勇敢な市民が悪を追い込んだ物語を描いたものですが、どことなく中途半端で、フィルムノワールの部分と実話の部分の噛み合わせがうまくいっていない作品でした。監督はジョセフ・H・ルイス。

 

裏社会のボスビッグフェローは、この日も裁判で無罪となり釈放されるところから映画は始まる。特別調査官としてビッグフェローを財務的に追い詰めようとするフランクらは、ビッグフェローが牛耳っている店の裏帳簿の裏付けを必死でおい求めるが、悪徳弁護士が立ちふさがり、なかなか真相にたどり着けなかった。

 

しかし、ある事件で、一人の会計士が殺されたところからほころびを見つけ、裏帳簿を手に入れたフランクらはビッグフェローを逮捕して映画は終わっていく。

まあ、実話をもとにしているのですが、淡々とした作品で、真面目な一本という感じでした。

 

「出獄」

これも実話を元にした作品で、無罪で投獄された男を執念で無罪に持っていくのですが、地道な展開を繰り返すので、映画が非常に長く感じてしまう。ある意味生真面目な一本でした。監督はヘンリー・ハサウェイ

 

時は1932年禁酒法の時代、町に犯罪が横行し、ある店で警官が二人の男に射殺される。そして犯人が逮捕される。それから11年が経つ。たまたま新聞に、その時逮捕されたフランクについて、情報提供された人に5千ドル支払うという記事が載る。それに興味を持ったタイムズの編集長はマクニール記者に調査を依頼する。

 

この記事を出したのはフランクの母で、11年間掃除婦をしながら金を貯めて記事を出したのだという。最初は適当に連載を始めたマクニールだが、次第に事件に疑いをだき始める。

 

そして、様々な聞き取りや証拠を集めるのだが確証がないままに恩赦委員会まで持ち込む。そして諦めかけた時、手にしていた写真を拡大する技術を新聞で見て、それにより、手にしていた写真の日時がはっきりし、証拠としてフランクの無罪が確定する。こうして映画は終わります。

 

実話を丁寧に追いかけていきスタイルなので地味ですが、いい作品に仕上がっています。当時の最新の科学なども取り入れられて面白くみることができました。