くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ANNA アナ」

「ANNAアナ」

久しぶりにワクワクするほど面白いスパイ映画を見ました。しかも、CIAとKGBというオーソドックスな東西戦というのがとにかく嬉しかった。二転三転するストーリーの面白さはもちろん、アクションシーンもテンポよくスピーディ。ちょっと古臭いけれどさりげない人間ドラマも盛り込んで、見せてくれました。監督はリュック・ベッソン

 

時は1985年、モスクワで次々とCIAの諜報員がロシアのKGBらしい諜報員に拉致され殺害されていく。極め付けは首をCIAに送りつける始末。そして時は5年後。

 

マトリョーシカを露店で売る一人の女アナのところにモデルのスカウトマンがやってくる。そしてアナをスカウトし、みるみるトップモデルに押し上げる。事務所の共同経営者とねんごろになったアナはこの日もホテルで密会。ところが突然、アナは銃で武器商人の顔も持つその経営者を殺す。

 

時は3年前に遡る。チンピラのどうしようもない男ペーチャと暮らすアナはどん底の生活をしていた。両親は事故で亡くし、士官学校も中退、成績が良かったのに、どうしよう見ない男と暮らし始めてどうしようもなくなっていた。この日もペーチャと強盗紛いのことをやるが警察に追われ命からがら自宅に帰ってきた。ところがそこにアレクセイというKGBの職員が待っていて、アナをスカウトする。そして5年任務を全うすれば自由にしてやると告げる。そして3年後。

 

アナはKGBの計画通りモデルになり冒頭の共同経営者を殺すが、CIAのミラーという男に逮捕される。もちろん、そのまま釈放される。そして三ヶ月前へ。アナはKGBの副長官オルガのもとで次々と任務をこなしていたが、KGB長官から褒められたものの当初の約束の5年後の自由はとても保障する言葉はなかった。アナはアレクセイと恋仲になっていたが、アレクセイも信じていいものかどうかアナには不安が募る。

 

それから3ヶ月後、アナはこの日もオルガの指示で任務をこなさんとある部屋に入るが、間も無くして疲れ切ってミスだらけの任務をこなす。そんな彼女にオルガは一週間の休暇を与える。しかし3ヶ月前、実はこの任務は部屋に入った途端、ミラーたちに拉致されたのだ。そして、二重スパイになることでなんとか解放された。見返りは3年CIAに仕えれば保護と自由を与えるというものだった。

 

アナの一週間の休暇にもミラーは彼女を保護すべくそばに寄り添っていた。いつのまにかアナとミラーも恋仲になる。しかし、ミラーはアナにある任務を与える。

 

この日もKGBの長官の元にやってきたアナは兼ねてからの約束でチェスを始める。そばにはアレクセイもいた。そしてチェスの試合も終盤、アナは隠し持っていた銃でKGB長官を撃ち殺す。実はこれがミラーから与えられた任務だった。アレクセイを眠らせ脱出を図るが、ミラーの待つ車のところへ行けないまま、待てなくなったミラーは車を出してしまう。

 

ミラーたちは5年前の復讐のために当時KGBを牛耳っていた長官を殺すために3年の計画を立てアナを利用したのだ。当然、ミラーもアナを自由にする気はなかった。ニューヨークに帰ったミラーにアナから連絡が入る。公園で待ち合わせようという。ミラーが公園に行くとそこにアレクセイのアナを待つ姿があった。CIAとKGBに監視の中、二人はテーブルを挟んで座る。そこへ現れたのがアナ。彼女は二人にキスをし、そしてミラーにはCIAのデータをアレクセイにはKGBのデータを渡し、このまま開放するように暗に迫る。アナは巧みにそれぞれの極秘情報データを盗みコピーをとっていたのだ。

 

アナは二人から離れるが、彼女の後ろにはオルガが迫る。そして、最後の最後オルガの銃がアナを撃つ。その場に倒れるアナ。ミラーとアレクセイもそれぞれに情報車に戻りアナの死体を見つめるが、死体は担架に乗せられていく。

 

アナは実は撃たれていず、その場を入れ替わった末にスキンヘッドになって何処かへ去る。一方オルガはアナが失敗した任務の後、二重スパイになったことを見抜き、さらにCIAの企みからKGB長官暗殺も知ったが、アナを自由にするために別の指示を与えた。そしてオルガは新任のKGB長官となる。

 

オルガはアナのデータを削除すべくPCを開くと、アナの映像が流れる。念入りに、万が一削除されないことがないようにオルガとの会話を録画してあった。オルガはアナの念の入りように苦笑いをして削除キーを押して映画は終わる。

 

とにかく、見事なくらいに入れ子になったストーリー展開で、まさにマトリョーシカの如し。さらに、アナのアクションシーンもなかなかキレがあっておもしろいしスピーディなので見ていてリアル感がある。丁々発止の騙し合いもいかにもな展開でワクワクしてくるし、アナのふてぶてしいキャラクター像もしっかり描けている。久しぶりにスパイ映画の傑作に出会った気がします。