くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「死亡遊戯」(4Kリマスター版)「君が世界の始まり」

死亡遊戯

ご存知ブルース・リーの遺作にして未完の作品。四十年ぶりくらいの再見。お世辞にも面白い映画とは言えないだらだらしたストーリー展開ですが、クライマックスの黄色のコスチュームのブルース・リー本人のアクションシーンは彼のカンフーアクションの集大成的な美学を感じさせる見せ場で、ここだけで十分な映画です。監督はロバート・クローズ。

 

ビリーというカンフースターが「ドラゴンへの道」のラストシーンのような場面の撮影から映画が幕を開ける。彼にはアンという恋人がいて、この女がとにかくアホで、彼女が出てくるとビリーがピンチになるというおバカぶり。

 

国際的犯罪シンジゲートのボスドクターランドから契約を迫られている。とよくわからない物語で、ドクターが送り込む輩が何度やってもヘマばかり、一方、ビリーの周りの人物、特にアンが何度襲われてもまたヘマを繰り返す。このダラダラが延々ラストまで引っ張っていく。

 

そしてとにかくクライマックス、真っ黄色の服を着たブルース・リー扮するビリーが、次々と敵の悪人を順番に倒していく。まるでゲームのランクアップみたいに二階、三階と強い敵がいて、最後はやたらのっぽな殺し屋と対決して大団円。そのあと、ドクターも倒して映画は終わるが、どちらかというとブルース・リー追悼映画で、至る所に過去の作品の映像が散りばめられてノスタルジックに描かれていきます。まあ、見ておいたらいいかなという映画ですね。

 

「君が世界の終わり」

期待してなかったのですが、意外に良かった。大阪弁のギャグが微妙にずれている状態がいつのまにか心地よくなってきて映画がどんどん良くなっていく。切ない様な青春ドラマでありながらどこか現実を冷たく見据える若者の視点もしっかり描けているし、映画的なシーンもあちこちに見られる面白さも満喫。なんか四角いスクリーンの中に展開する世界が素敵な映画に出会った感じでした。監督はふくだももこ。

 

パトカーのサイレンの音、どうやら高校生が父親を殺害した事件が起こったらしく、犯人と思しき青年がパトカーに乗せられる。カットが変わると、女子高生えんののんびりした顔のアップ。そこへ飛び込んでくるやたら元気な友達の琴子。二人乗りして学校へやってくると、校門で先生が呼び止め、いつもの儀式の如く琴子と追いかけっこをする。使われなくなった半地下の教室に入り込んだえんはそこでタバコを吸っている琴子と合流。物音がしたので行ってみると一人の男子生徒業平が涙を流している。その姿に一目惚れする琴子。

 

ここに父と二人暮らしのジュンがいる。父はせっせと朝食を作っているが無視して学校へ行く。父とは仲が悪く、母を追い出したのは父だと恨んでいる。この日、閉店間近のショッピングセンターへ行き、屋上の駐車場で一人の男子生徒伊尾が女性とカーセックスをしている。この女性は伊尾の継母であることがわかる。ジュンは伊尾とそのまま非常階段に行きSEXする。

 

琴子はなんとか業平と仲良くなりたいため、何かにつけて業平に付き纏い始める。そしてようやくデートにこぎつけるが、業平は琴子のそばにいるえんが気になっていた。ある夜、自動販売機に頭をぶつけて喚いている男をなだめている業平を見つける。業平の父親は精神的にまいっていて、業平が面倒を見ていた。えんは成り行きで業平を家に連れてくる。えんの両親は陽気で、関西的なノリで業平を迎え食事をする。

 

ある日、えんはクラスのイケメン岡田に、和歌でラブレターをもらったので訳してほしいと頼まれ、二人は仲良くなる。えんは成績がいつもトップで、そこを見込まれたのだが、羨望のまとの岡田に近づくえんを女子たちが羨む。

 

琴子は、業平がえんに気があるらしいことにショックを受け、学校でもえんと疎遠になっていく。えんは業平、岡田らと連みながら生活するようになる。そんな時、高校生が父を刺殺した事件がニュースで流れる。ジュンはてっきり伊尾だと思ったが、違っていた。またえんも業平だと思ったが、それも違って、全く知らない高校生が犯人だった。

 

いつものように閉店間近にショッピングセンターで遊んだ業平、えん、岡田が外に出ると土砂降りの雨、センターは閉店、どうしようかと思っていると同じくセンターで遊んでいたジュンと伊尾に会う。伊尾の継母ミナミがセンターで仕事をしていた関係で、従業員入り口のパスワードを知っていたので5人は閉店後のセンターに入り、しこたま遊び始める。

 

そして最後にクリスマスセールの前で擬似演奏をして大暴れし、歌い終わったところで警備員の拍手と共に追い出される。夜明けの町、それぞれが帰路に着く。ジュンと伊尾はバス停で待つ。ジュンがキスして欲しいという。伊尾はジュンの目を見据えてキスをする。ジュンは家に帰ると父が食卓で寝ている。作ってくれたお好み焼きをおもむろに食べ出すジュン。父とようやく打ち解けたシーンが続く。

 

業平とえんは自転車で帰る。業平はえんに出会ったことで、前に進めたという。岡田は、和歌の返事を出していないという。そして学校の授業。ぼんやりしているえんは廊下に琴子を認めて追いかける。琴子は校庭の水たまりまでかけて行きえんもそこで追いつき、共に水たまりの中へ。琴子はえんに、自分に気にせず業平と付き合えという。えんはそんなことどうでもいいかのように琴子に笑いかける。琴子はまるで世界の始まりみたいだと大笑いして映画は終わる。

 

とっても良いです。スクリーンの中で展開する別世界のようでとっても魅了されてしまう映画。良いのを見たなという感じでした。