くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「思い、思われ、ふり、ふられ」「8日で死んだ怪獣の12日の物語」

思い、思われ、ふり、ふられ

全編キュンキュンと締め付けられるような恋愛模様が描かれていく瑞々しさがたまらない作品で、四人の高校生の何気ない恋愛ドラマなのに、絡んでくる心のベクトルが変化していく様が自分の青春を重ね合わせ、それでいて現代の恋愛を感じさせる切なさに最後まで引き込まれてしまいました。四人の役者のそれぞれも素敵な作品でした。監督は三木孝浩。

 

女子高生の朱里は、積極的な性格だがどこか自分を飾るところがある。そんな彼女と全く正反対の消極的な由奈はそんな彼女といつの間にか友達になっていた。朱里は転校を繰り返していたせいで、それぞれの環境を無難にするようにする性格だった。由奈と朱里は同じマンションに住んでいて、由奈はマンションで知り合った理想の男性に恋い焦がれていると朱里に話す。

 

学校の帰り、朱里の家に誘われた由奈は、そこで理想の男性と思っていた理央と出会う。何と朱里と理央は義理の姉弟だった。朱里の計らいで理央と親しくなっていく由奈だが、実は理央は朱里が好きだった。理央は中学に時転校してきた朱里に一目惚れし告白するために雨の公園へ呼び出した。ところが時を同じくして、朱里は母と母が付き合っている男性と偶然出会い、二人が結婚することを知る。しかもその男性は理央の父だった。このままではまとまらないと感じた朱里は理央からの誘いのメールが残った携帯を水溜りに落として壊し、理央に理央の父の携帯を通じて引き合わせる。

 

朱里のクラスには乾和臣という男性がいて彼もまた朱里とマンションが同じで理央と仲がよかった。彼は朱里のことが好きだった。ある雨の日の学校の帰り、由奈は理央と帰ることになるが雨宿りのトンネルで由奈は理央に告白する。しかし朱里に想いを寄せている理央は丁寧に断る。それでも今まで内気で過ごしてきた由奈は前向きに進むきっかけになる。

 

これもまた雨の日、傘がなくて困っている朱里に理央が傘を持って迎えにきて、車から守って抱き寄せた時にキスをしてしまう。しかし、朱里は怒って走り去ってしまう。そんな出来事を理央から聞いた由奈は朱里に謝るようにアドバイスし、また、理央から聞いていた中学時代のすれ違いの真相を話す。

 

夏祭りの夜、由奈、朱里、理央、和臣四人で夜店に出かけるが、はぐれた朱里を見つけた和臣に、朱里は告白する。しかし、はっきり答えない和臣に朱里は自分から、いまのことはなかったことにと言って逃げてしまう。

 

文化祭の日、朱里は元彼に会う。彼は朱里に、自分が恥ずかしくならないように取り付くろうくせはやめたほうがいいとアドバイスする。一方理央はいつのまにか由奈のことが気にかかるようになっていた。由奈が別の男性に告白されたと朱里に言い、その告白は断ったがこの気持ちのまま理央に再度告白したいと朱里に相談、あかりに背中を押されて理央の元に走る。

 

由奈は理央に自分の気持ちを伝えるが理央は由奈のことが好きだと告白する。そんな頃、朱里と理央の父がアメリカに赴任することになり、ついていくかどうかで離婚するかもしれない危機が訪れる。しかし、朱里は父についていくと言い、それによって母もついていくだろうと考える。理央は日本に残ることにする。

 

引っ越しが迫る頃、映画関係の仕事を目指す和臣の両親は反対をして、和臣のDVDを全て捨ててしまう事件が起こる。落ち込む和臣を朱里は慰めるが、耳に入らない和臣。そんな和臣に理央は朱里が間も無くアメリカに行くと伝える。そして和臣の学校のロッカーに朱里からDVDのプレゼントが入っていた。

 

和臣を慰めることもできず引きこもる朱里のところに由奈が来て玄関口で、朱里の母にもっと朱里と話してほしいと叫んで去る。そんなある夜、朱里が引越しの準備をしていると和臣からメールが入る。二人で見た夜景の見える丘に来て欲しいという。勇んでいく朱里、そこで和臣は、父に自分の希望をはっきりと告げたこと、そして朱里のことが好きだと告白する。朱里も素直に、ふられてからもそれからもずっと好きだったと答える。

 

由奈の携帯に朱里からありがとうの言葉が入る。由奈は理央を誘って、朱里らのいる丘に向かう。夜明け、四人は登る朝陽を見ていた。映画はここで終わる。

 

シンプルなプラトニックラブのベクトルが、理央は朱里から由奈に、朱里は理央から和臣に、変わる流れを中心に、ふられた後の再度の告白からの恋の成就、そしてそれもまた青春時代の時の流れの途上であることを告げるラストが素敵。個人的には大好きな映画になりました。

 

「8日で死んだ怪獣の12日の物語」

監督が岩井俊二なので見に行ったという感じの作品。全編リモートで、コロナを題材にした物語というか会話劇が展開していく。まあ、一風変わった映像作品という感じです。

 

タクミという若者が通販でカプセル怪獣を手に入れる。そして育て始める様子がリモート会議的な映像で展開。相手に真嗣や星人を通販で買ったノン、同じくカプセル怪獣を買ったユーチューバーの女の子が入れ替わり立ち代わり登場する。

 

主にタクミを中心に展開するが、何のことはない毎日変化していく紙粘土のような怪獣の小さな姿をあれこれ推察する。間に自粛で閑散とした街中をカメラが俯瞰で捉えていく。時に怪獣の仮面を被った女性がシュールなダンスを行う。

 

二転三転しながら変化したタクミの怪獣は最後はマスクの形になり、YouTuberの怪獣はどこかへ逃げ、ノンの星人はノンを宇宙留学させるべく誘うがノンの両親の反対で一人旅立つ。最後にお土産を置いていくが何とコロナウイルスのワクチン。

 

こうして映画は終わるという何とも取ってつけた映画だった。